『ウルトラマン』放送60周年に振り返る「欠番エピソード」の歴史 今も見られない「封印回」も
『セブン』の最終回にもつながる? 議論呼ぶ「封印回」

特撮界きっての「封印エピソード」として知られているのが、『ウルトラセブン』(TBS系)の第12話「遊星より愛をこめて」です。『ウルトラマン』の人気エピソード「故郷は地球」などを手がけた実相寺昭雄監督と脚本家の佐々木守氏とのタッグ作です。
1967年12月17日に「遊星より愛をこめて」は初放送されていますが、1970年代以降は再放送されず、ソフト化からも外され、「欠番」扱いとなっています。
放送時には問題になりませんでした。ところが後年、「遊星より愛をこめて」に登場するスペル星人が「ひばくせい人」という呼び名で、小学館が発行していた学年誌の付録「かいじゅうけっせんカード」や『怪獣ウルトラ図鑑』(秋田書店)に記載されていたことから、「被爆者差別を助長する」と抗議が起きたのです。
円谷プロ制作の映像本編ではなく、出版社が刊行した関連図書などの表現が問題のきっかけとなったことから、「遊星より愛をこめて」が欠番になっていることに疑問を投げかける声も少なくありません。
2027年には『ウルトラセブン』が放送60周年を迎えることになります。当時の事情を知る人は少なくなっています。「なぜ封印しなくてはいけなかったのか?」「本当に差別を助長する内容だったのか?」について検証する機会が設けられてもよいのではないでしょうか。
桜井浩子さんがゲスト出演し、『ウルトラセブン』の最終回「史上最大の侵略」につながる重要なエピソードだけに、関係者は改めて検討してほしいと思います。
「刑法第39条」を題材にしたリーガルミステリー
異なる立場や価値観を超えて、人と人は理解し合うことができる。そんな熱いメッセージが込められた『ウルトラセブン』の最終回ですが、後継番組となった『怪奇大作戦』(TBS系)にも「封印回」が存在します。
1969年2月23日に放送された第24話「狂鬼人間」です。刑法第39条にある「心神喪失者の行為は罰しない」という規定をモチーフにした内容です。
殺人事件が次々と起きますが、被疑者たちは「心神喪失」を理由に刑事責任を問われず、病院で治療を受けた後は釈放されます。一連の事件は、人間の精神を一時的におかしくする「脳波変調機」を使った計画犯罪でした。SRI(科学捜査研究所)の牧(演:岸田森)たちは、事件を操る黒幕に迫ります。
おとり捜査に挑む牧役の岸田さんが迫真の演技を見せたことが知られていますが、1990年代以降は再放送されず、DVDにも収録されない「欠番」エピソードとなっています。あくまでもフィクションとして制作された『怪奇大作戦』なのですが、「狂鬼人間」は精神障害のある人の描き方やセリフが現代の視点では問題視されたようです。
時代や社会状況によって、また作品を取り巻く環境によって、映像表現の自由度は変わってきます。ただ「臭いものには蓋」ではなく、なぜ「封印回」が生まれたのかを考察することも、映像文化を理解する上で意義のあることではないでしょうか。
(長野辰次)



