『ウルトラマン』放送60周年に振り返る「欠番エピソード」の歴史 今も見られない「封印回」も
『ウルトラマン』の放送開始から60周年を迎えた特撮界ですが、テレビ放送の黎明期でもあった時代には「封印回」と呼ばれているエピソードも生まれています。「封印」された事情はさまざまです。初期ウルトラシリーズである『ウルトラQ』や『ウルトラセブン』などの「お蔵入り」、もしくは「封印」されたエピソードを考察します。
現在も視聴不可能、60年の歴史で生まれた伝説

2026年7月17日に、空想特撮シリーズ『ウルトラマン』(TBS系)は放送開始から60年という記念日を迎えました。第1話「ウルトラ作戦第一号」は視聴率34.4%を記録しています。円谷プロが制作する奇想天外な特撮ドラマに、多くの人がワクワクドキドキさせられてきました。
DVDや配信などで過去作も気軽に楽しめる時代になりましたが、多種多様なエピソードのなかには「封印回」と呼ばれ、今では視聴するのが難しいものもあります。
円谷プロ制作の初期ウルトラシリーズから、「封印」扱いされたエピソードと、その理由について振り返ります。
子供には難解すぎた? 「幻の最終回」
円谷プロが初めて手がけたテレビシリーズとなったのが、1966年1月から7月に放送された『ウルトラQ』(TBS系)です。全28話が制作された『ウルトラQ』ですが、小山内美江子さん脚本、円谷一監督による「あけてくれ!」は、初回放送では「お蔵入り」の憂き目に遭っています。
由利子(演:桜井浩子)たちが夜更けにドライブしていると、終電に乗りそびれたらしい中年サラリーマンに遭遇します。様子がおかしいので、一ノ谷博士のもとへ連れていきます。
催眠療法によって中年サラリーマンから事情を聞き出したところ、空を走る不思議な列車に乗り合わせ、その列車内でSF作家の友野(演:天本英世)に出会ったというのです。どうやら、友野が想像した異次元列車に、中年サラリーマンはうっかり乗ってしまったようです。
妻と娘が迎えに現れますが、中年サラリーマンの居場所は家庭にも職場にもありません。空を飛ぶ列車に向かって、中年サラリーマンが「俺も乗せてくれ!」と叫ぶシーンでこのシュールなエピソードは幕を閉じます。
のちに『3年B組金八先生』(TBS系)を大ヒットさせる小山内美江子さんですが、中年サラリーマンの悲哀を描いた「あけてくれ!」は子供には難解すぎると判断され、怪獣も登場しないことから初回放送が見送られてしまいました。
日本初のカラー特撮ドラマ『マグマ大使』(フジテレビ系)が同年7月4日より始まっており、『ウルトラマン』を成功させたかった円谷プロとTBSは「あけてくれ!」の放送を取りやめ、代わりに「ウルトラマン前夜祭」を放送したことが伝えられています。
お蔵入りを知らされた小山内さんは『円谷プロ怪奇ドラマ大作戦』(洋泉社)で、当時のことを以下のように語っています。
「まぁしょうがないなぁと。でももったいないから、何かのときに放送してくれるのなら嬉しいなぐらいに考えていたんだけど、他にどんどん仕事もあったからね」
小山内さんも放送が見送られた事情に理解を示し、トラブルにはならなかったようです。
「あけてくれ!」は、再放送では第28話(最終話)として放送されています。



