再放送『未来少年コナン』の名場面「ギガント復活」、宮崎駿監督のミリタリー愛が満載
巨神兵と同じ運命をたどるギガント

空飛ぶ不沈艦・ギガントに、コナンたちはどう立ち向かうのか? ファルコに乗っていたコナンは、なんとギガントへと乗り移り、大きな翼の上を走ってギガント本体へと迫ります。もちろん、パラシュートなんて持ち合わせていません。強風にさらされるギガントの翼の上をコナンが走り抜けるドキドキハラハラ感は、アニメ史上かつてないものでした。
ジムシー(CV:青木和代)とダイス船長(CV:永井一郎)も、コナンの後に続きます。ギガントから何度も振り落とされそうになるコナンたちですが、かろうじて踏みとどまります。コナン、ジムシー、ダイス船長の無鉄砲さは、頭のいいレプカにはまったく予測できないものでした。
科学の粋を集めることで完成した前時代の遺物であるギガントは、新しい時代を生きるコナンたちの前に敗れ去ることになります。劇場アニメ『風の谷のナウシカ』(1984年)に登場する巨神兵と同様に、とてもはかない運命でした。科学の力によって、人間は自然界さえも従える存在になれると考えられていた時代は、ギガントとともに完全に終焉を迎えます。
ダイス船長は男の株を爆上げ
しぶとい男・レプカも、最後は自分ひとりだけ生き延びようとし、芥川龍之介の小説『蜘蛛の糸』状態に陥ってしまいます。宮崎駿監督の劇場監督デビュー作『ルパン三世 カリオストロの城』(1979年)のカリオストロ伯爵と同じように、とてもかっこ悪く、それゆえに印象に残るラストです。
それまではコナンたちの足を引っ張ることが多かったダイス船長は、ギガントでの戦いで男の株を爆上げします。「モンスリー、そのパジャマ似合うぜ」はダイス船長らしい、湿っぽさを嫌った愛ある言葉でした。
新型コロナウイルスの影響でハプニング的に再放送されることになった『未来少年コナン』でしたが、大人になって改めて見直すことで、宮崎駿作品の面白さをより楽しむことができたように思います。初放送時は「もっとかっこいい曲にすればいいのに」と感じていた主題歌「今地球がめざめる」とエンディング曲「幸せの予感」も、残りの回はじっくりと聴いてみたいと思います。
(長野辰次)