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『エヴァ』二次創作のガイドラインが出された理由は? 読み解いて見えてきた目的

「禁止します」ではなく「控えてください」

 今回、公開を控えて欲しい創作物の内容として、以下の7項目が提示されました。

(1)本作品、または他者の気持ちや名誉、考え方などを傷つける目的のもの
(2)特定の政治・宗教・信条を過度に推す、または貶めるもの
(3)過度に暴力的・グロテスクなもの
(4)ポルノ表現そのものを目的としたもの
(5)その他反社会的な表現のもの
(6)他者の権利を侵害しているもの
(7)公式作品と誤認される可能性のある様態のもの

 改めて見てみれば、どれもごく、当たり前の内容となっています。創作物及び二次創作は「楽しむためのもの」であり、人を傷つけたり自身の政治信条を訴えるために使うものではありません。権利は当然すべてカラーが保有するものであり、二次創作はあくまでも見逃してもらって作り上げるのですから、権利者に迷惑がかからないようにするのはエチケットの類と言えるでしょう。ただ、ポルノ表現そのものを目的としたもの、この表現については解釈の余地が分かれるかと思います。

 一見すると18禁の同人誌を禁止しているようにも見えますが、前述の通り同人誌は対象外です。おそらくこの条項は、パロディAVを禁じるためのものである可能性が高いのではないでしょうか。

 そして重視すべきは「禁止します」というはっきりとした言葉ではなく「控えてください」と柔らかめの表現になっている点でしょう。カラーが二次創作を可能な限り許容したいという意志を持っていることが読み取れます。もちろん、身勝手な拡大解釈を行い、好意を無碍にすれば、また別の対応が待っている可能性は高いでしょう。

 また、重要なポイントしては動画配信や有料ファン会員サービスについては、収益化プログラムが動作していてもかまわないと明記されていることです。もちろん「エヴァンゲリオンのファン創作物がアカウントのメインコンテンツではないこと」「あくまで趣味の創作活動の範囲にとどめ、その創作物を使った過度な営利活動を行わないこと」と注意事項は付随してはいますが、例えばライブドローイングでアスカの絵を描く程度なら認められていると解釈できます。

 結局のところ、ガイドラインが出ても、収益を考えない創作活動については今までとあまり変わりはなく進めていけると考えて良いと思われます。間もなく公開される『シン・エヴァンゲリオン』が傑作であれば、多くのファンアートがSNSを彩ることでしょう。25年前には存在しなかった光景がさらなるエヴァの世界を広げてくれることを、ひとりのファンとして期待せずにはいられません。

(早川清一朗)

【画像】まあまあとがってる!公式の『エヴァ』本

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