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何度でも立ち上がる福島のヒーロー『ダルライザー』の今。震災を機に「口を開いた」

ダルライザーのキャラ設定が変わった「10年前」

2021年2月11日に開催された「白河オンラインだるま市」に参加したダルライザー(右)
2021年2月11日に開催された「白河オンラインだるま市」に参加したダルライザー(右)

 2011年3月11日に起きた東日本大震災から、もうすぐ10年が経ちます。大震災と原発事故は、多くの人にさまざまな影響を与えました。和知さんもそのひとりだと言えるでしょう。当時、白河市内の結婚式場に勤めていた和知さんは、原発事故から避難してきた人たちのために、職場のスタッフたちと一緒に1日2000個のおにぎりを作り、避難所へ連日届けたそうです。

 ダルライザーとしての活動は2008年から始めていたので、すぐにでもダルライザーショーを開きたかったそうですが、震災直後は控えました。震災から1週間が経過し、白河市から「避難所の子供たちを励ましてほしい」という要請を受け、派手なBGMなどはなしで、ダルライザーとして避難所を慰問することに。避難所のブルーシートに佇む子供たちに、ひとりずつ声を掛けて回りました。

 それまでダルライザーは「言葉はしゃべらない」という設定でしたが、それでは子供たちとのコミュニケーションが図れません。キャラ設定にこだわることなく、和知さんはマスク越しに「大丈夫だよ」と子供たちに話しかけました。知らない街に来たばかりだった子供たちは、一瞬でも不安を忘れることができたのではないでしょうか。

コロナ禍でも闘い続ける、等身大のヒーロー

 震災がきっかけで、和知さんは「自分たちの街だけでなく、もっと多くの人に勇気を届けたい」と結婚式場を辞め、映画『ライズ ダルライザー』の製作に取り組むことにしました。上映時間145分あったオリジナル版の先行上映は熱狂的に受け入られましたが、119分に再編集した『ライズ ダルライザー NEW EDITION』の全国公開は、和知さんいわく「残念ながら、ヒットには至っていません。借金も残っています」とのこと。でも、和知さんはこうも語っています。

「約2時間に編集したことで日本各地の映画館で上映することができ、ダルライザーという存在を白河以外の人たちにも広く知ってもらうことができました。また、2020年には福島でのローカル枠ですが、テレビ放送もされました。テレビ局には300件も好意的な声が届いたそうです。白河は小さな街ですが、これだけのクオリティの映画を作ることができると示せました。やって、よかったですよ」

 コロナ禍で福島も大変な状況ですが、2020年の非常事態宣言の際に、ダルライザーは福島のローカルCMに出演し、ソーシャルディスタンスを呼びかけています。福島の他のご当地ヒーローたちと一緒に出演し、リモートワークを推奨するローカルCM第2弾もオンエアされました。毎年恒例となっている「白河だるま市」は2021年は中止となり、代わりに開催された「白河オンラインだるま市」にダルライザーが登場し、白河の街を紹介しています。

 また、和知さんはダルライザーと敵対するダイス側の視点から描いたTVドラマシリーズを企画し、撮影の準備を進めていたのですが、この企画はコロナ不況のためにスポンサーが集まらず、中断した状態です。それでも和知さんはへこたれず、用意した機材を使って地元企業のCMやプロモーションビデオの制作に勤しんでいます。「何度でも立ち上がる」ダルライザー精神を実践しているようです。

 和知さんはフスト氏が創設した護身術「KEYSI」のインストラクターでもあり、また地元の若者たちを対象にした「しらかわ演劇塾」の講師も務めています。2021年2月27日(土)~28日(日)は、震災をモチーフにしたドラマ・リーディング『空の村号』を白河文化交流館コミネスで上演するそうです。和知さんをはじめ福島で暮らす人たちにとって「3.11」は、人生が変わった忘れることができない1日として、今も胸に刻まれています。

(長野辰次)

●『ライズ ダルライザー NEW EDITION』は、Amazonプライムビデオ、YouTubeムービーなど各配信サイトで視聴できます。

【画像】生身のヒーロー「ダルライザー」、闘いに街おこしに大忙し…?(7枚)

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