『スラムダンク』陵南・田岡茂一監督は理想の指導者? 作中の言動でわかる、優れた能力
『スラムダンク』で湘北のライバルとして登場した陵南高校の田岡茂一監督は、勝利のために厳しい練習を課す一方、くじけそうになった魚住を励ますなど愛情を持って選手に接する名監督です。神奈川県予選では湘北を苦しめるも、わずかな油断から敗れてしまいますが、そこでも心を揺さぶる名言を残しています。
田岡茂一・41歳。桜木花道の才能を見抜く

湘北高校の安西監督や海南大付属高校の高頭監督など、『スラムダンク』には多くの監督が登場しますが、作中で最も監督らしい姿を見せていたのが、陵南高校の田岡茂一監督ではないでしょうか。
年齢は41歳。学生時代は「神奈川に田岡あり」と呼ばれるほどの選手で、「恐怖の新入生」と呼ばれた1年下の高頭監督とはライバル関係だったことが明かされています。監督となってからも顔を合わせればバチバチとやり合う関係は変わらず、本編のその後を描いた「あれから10日後 -」では、一緒に国体の代表チーム編成を考えながら、どちらが監督を務めるのか熱く議論をしています。きっと両者が表舞台から遠ざかるまで、ずっとこの関係は変わらないのでしょう。
そんな田岡監督の初登場は「#25 因縁の二人」になります。チームの実績としては圧倒的に陵南の方が上でありながら、練習試合にやってきた安西監督を出迎える際にぺこぺこと頭を下げているのが印象的なシーンです。間違いなく、「白髪鬼」と呼ばれていたころの安西監督のことをよく知っているのでしょう。
とはいえ、試合が始まってしまえばそんなことは関係なし。序盤、魚住と仙道の活躍でリードを奪うと「この試合30点差を付けて見ろ!」とチームを煽ります。その後は、素人だと思っていた桜木にカンチョーされるわ押しつぶされるわと、さんざんな目に遭った上、単に流川が嫌いでパスを小暮に集めていたことに気付かず、「ヤツは切れる!! 相当切れる!!」と勘違いさせられてしまいます。
しかし桜木の才能は認識しており、今は素人だが2~3年後は分からないとも考えています。県で有力なチームを率いる指揮官としての能力は、伊達ではないのです。
このときの練習試合では、湘北の猛追を受けながらかろうじて逆転勝利を収め、最後の別れ際、赤木に「あの10番(桜木)は鍛えればモノになる」と言いかけて止めています。バスケットの才能を愛するひとりの男と、勝利を目指す監督としてのせめぎ合いで、かろうじて後者が勝利したということでしょう。