『進撃の巨人』最終回から読み解く エレンが求めた”自由”とは?
アルミンの“夢”とエレンの“自由”のねじれた関係

本編でエレンが自由について語った箇所で、印象的な場面がふたつあります。ひとつは第73話「はじまりの街」で本を見せて語りかけるかつてのアルミンの姿を思い出しながら、エレンが語る場面です。「お前は楽しそうに夢を見ているのに俺には何もなかった」「そこで初めて知ったんだ」「俺は不自由なんだって」と。
もうひとつは第131話「地鳴らし」でマーレに上陸したエレンが、巨人たちの行進によって街も人も無残に踏み潰され、荒涼とした地になっていくさまを見て「これが自由だ」「ついに辿りついたぞ」「この景色に」と語る場面です。
前者で、なぜエレンは夢を持っていないことで、不自由を覚えたのでしょうか。夢と自由は対義語ではありません。妥当なのは、アルミンの壁の外にある未知の世界を見る夢を知ったことで、それが不可能なのは自分たちが壁に閉じ込められているこの状況のせいと自覚した、という考えでしょう。事実、後者の自由を実感する場面の直前でもエレンは「生まれた時からずっと」「オレの前には」「うっとうしい壁があった」と語り、この壁の向こうにあるであろう広い世界を見た者が世界で一番自由を手に入れた者だと考えていましたし、これまででも壁の外の未知の世界へ行くことは、エレンの夢として、自由の象徴として何度も示されてきました。
しかし同じ第131話のマーレに潜入した際の回想で、エレンは壁の向こうの世界が、自分が夢見たものと違っていて失望したと述べています。その夢見た世界とは「アルミンの本で見た世界」です。つまりエレンが夢見ていた自由とはアルミンが見せた世界で、彼自身が想像して心に抱いたものではなかったとも言えるのです。
もしかしたらエレンは、アルミンが持つ夢を見る力–いまここにはない未知の世界を考えることのできる想像力や好奇心に自由を感じ、それを欲していたのではないでしょうか。そして「マーレ篇」最終章以降、始祖の巨人の力によって、過去と未来を把握してしまったエレンは、未知の世界–夢を見ることさえできなくなります。
「アルミン…」「オレは…頭がめちゃくちゃになっちまった」「始祖の力がもたらす影響には過去も未来も無い…同時に存在する」「だから…」「仕方が無かったんだよ」(最終話「あの丘の木に向かって」より)
エレンができるのは、定められた結末に向かって現在を進めるため、障害となるものを駆逐するだけなのです。







