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『進撃の巨人』最終回から読み解く エレンが求めた”自由”とは?

父・グリシャにささやかれた“自由”とは

エレンは「地鳴らし」を発動する 著:諫山創『進撃の巨人』第31巻(講談社)
エレンは「地鳴らし」を発動する 著:諫山創『進撃の巨人』第31巻(講談社)

 先述の“地鳴らし”で自由を実感したように見えたエレンは、道でアルミンと対峙して、後に最終話で明かされる対話を始めます。その最中、かつて夢に見た未知の世界、炎の水を目の当たりにして興奮しているアルミンと、いち早く冷静さを取戻し、そんなアルミンを見つめているエレンの姿は、そうしたふたりの位置づけを象徴しているかのようでした。さらにエレンはその対話のなかで、こうも語っています。

「お前達に止められる結末がわかっていなくても」「オレはこの世のすべてを平らにしてたと思う」(中略)「…何でか」「わかんねぇけど…」「やりたかったんだ…」「どうしても…」

 この時エレンは生まれてすぐに父グリシャに抱かれて「エレン…」「お前は自由だ…」とささやかれている光景を頭に思い浮かべています。

 もしエレンがこの時、生まれたての何も意識できない赤ん坊が見る、自分も他者も存在しない世界を“自由”と認識していたのだとしたら……そう考えると、後にアルミンやミカサたち仲間というしがらみを得たエレンが、彼らを守るために“自由”と自らの命を犠牲にしたことにもわずかな希望が感じられます。

 エレンが「お前なら…」「壁の向こう側に行ける」とアルミンに人類の未来を託したのは、自分が見た運命という閉ざされた壁の向こう側、自分が討ち取られた後のいまだ確定していない未来を探求する好奇心と、それを創り上げるための想像力を、アルミンなら持っていると信頼してのことだったのでしょう。

 最後に、冒頭で「細部に読者の解釈に任される箇所が残されて」と書きましたが、それは『進撃の巨人』の物語が豊饒(ほうじょう)である証しでもあります。「別冊少年マガジン」最終話の後に掲載された編集部からのメッセージには「物語を通じて人と人が『言い表せない感情』を共有すること以上に価値のあることは無いように思います」と記されていますが、本稿で記したのも『進撃の巨人』から自分が受けた言葉では言い尽くせない感情や感動の一端でしかありませんし、作者である諌山創先生の意図する内容でさえないのかもしれません。それでも物語の世界に触れ、好奇心から想像の翼を広げることには価値があることだと思います。アルミンの好奇心と想像力が、やがて世界を救ったように。

(倉田雅弘)

【画像】「自由の翼」を背に!『進撃の巨人』Tシャツ(9枚)

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