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首チョンパ!今じゃ無理な昭和ウルトラ「スプラッタシーン」4選。残酷描写の狙いは?

昭和のウルトラシリーズには「首チョンパ」がありました。ウルトラヒーローが多彩な技によって怪獣をスパスパと斬っていく様子は、今の子供たちからすればカルチャーショックを与えるものでしょう。昭和だからこそ許された(?)スプラッタ名シーンをご紹介します。

返り血、生首、あふれるはらわた……徹底した死に際の描写

『ウルトラセブン』第3話「湖のひみつ」を収録した、「ウルトラセブン Vol.1 DVD」(バンダイビジュアル)
『ウルトラセブン』第3話「湖のひみつ」を収録した、「ウルトラセブン Vol.1 DVD」(バンダイビジュアル)

 今も昔もウルトラシリーズの面白さは変わりませんが、もし大きく変わったことがあるかと問われれば、怪獣の「首チョンパ」(部位切断)描写といえるかもしれません。平成以降のウルトラシリーズにも切断描写がないわけではないですが、こと昭和はその生々しさがケタ違いでした。ということで今回は昭和のウルトラシリーズから、ちょっと今では考えられないスプラッタな名シーンをご紹介します。

※『ウルトラマンA』に費やせた文字数がわずかだったことを先にお詫びいたします。

●最も有名な首チョンパ……『ウルトラセブン』エレキング

 昭和ウルトラシリーズのなかでも代表的な首チョンパは『ウルトラセブン』の3話「湖のひみつ」でしょう。ウルトラセブンがアイスラッガーを放ち、宇宙怪獣エレキングの首と尻尾を切断するシーンは衝撃的でした。なにせ、切断された首から鮮血が噴き出すのです。

 前作『ウルトラマン』でも首チョンパはたびたび登場しますが、これほどまでに生々しさを追求したものはなく、造形へのこだわりを感じさせる名場面です。なおその後もエレキングは後続のウルトラシリーズに登場しますが、その死に様は徐々にマイルドになっていくので、時代背景を読み解く資料としてもエレキングの最期は重要かもしれません。

●返り血が見ていられない……『ウルトラセブン』ギエロン星獣

 アイスラッガーは手に持った瞬間、それはもう “鋭利な刃物”です。ということで、続いても『ウルトラセブン』から26話「超兵器R1号」における対ギエロン星獣戦をご紹介します。

 こちらは内容も相まってかなり “スプラッタ”です。故郷の惑星を人類の身勝手な兵器実験によって破壊されたギエロン星獣との戦い。葛藤のなかで行われる「駆除」は精神的にも辛いのですが、最終的にはセブンが手に持ったアイスラッガーによって頸動脈を切ることとなります。ほとばしる黄色い鮮血がセブンの顔を染めるのですが、勇ましいBGMとは裏腹に、目を覆いたくなるような場面でした。

●ウルトラマンが無残なバラバラ死体に……『帰ってきたウルトラマン』スノーゴン

 首チョンパされるのは、なにも怪獣に限ったことではありません。我らがウルトラマンもまた平等にスプラッタの対象です。衝撃のシーンは『帰ってきたウルトラマン』40話「冬の怪奇シリーズ まぼろしの雪女」に登場します。

 雪山で怪獣スノーゴンの冷凍ガスによってカチンコチンにされたウルトラマンが容赦無くスノーゴンによってズタズタのバラバラにされてしまうのです。画面いっぱいに切断されたウルトラマンの生首が転がってくるシーンは、衝撃以外の何物でもありません(その後、復活して相手を同様に冷凍粉砕します)。

 いったい誰がこのタイトルのエピソードでこんなトラウマシーンが登場すると予想できたでしょうか。そうした意味では『ウルトラマンタロウ』14話「タロウの首がすっ飛んだ!」は、親切でした。

●昭和最強級の特撮スプラッタ……『A』ドラゴリーとメトロン星人Jr.とムルチ

 いよいよ真打ちです。『ウルトラマンA』……切り裂き魔、ギロチン王子、空飛ぶスプラッタ、さまざまな異名を持つウルトラマンエースですが、8話 「太陽の命 エースの命」を紹介させて下さい。

 まさに昭和ウルトラスプラッタの見本市です。怪獣ムルチは超獣ドラゴリーに下顎から無残にも引き裂かれ、血を吹き出しながらバラバラにされますし、そのドラゴリーもエースの“パンチ”によって体に風穴を開けられたのち、エースブレードで首をはねられます。

 さらにエースはバーチカルギロチンでメトロン星人Jr.を真っ二つに。その内部からはカラフルな“はらわた”があふれます。超獣、怪獣、宇宙人、それぞれのスプラッタを詰め込んだお徳用(?)エピソードといえるでしょう。

 鮮血、転がる生首、あふれ出る臓物……ただド派手で扇情的な演出とも受け取れますが、そもそもこうした描写は死に様を際立たせる役割もありました。それはつまり、架空の「怪獣」に確かな命があったことを逆説的に印象づけてくれていたのです。

 ギエロン星獣の痛みを感じ取れたのは、あの「返り血」があったからこそだと思うのです。なお『ウルトラマンレオ』3話ツルク星人の回は描写対象が怪獣・宇宙人でないことから、今回は候補より外しております。

(片野)

【画像】子供心にトラウマ級だった? スプラッタ描写で退場した怪獣たち(5枚)

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