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『鬼滅の刃』いろいろあるけれど兄弟姉妹っていいな…と思う5選

家族の絆をテーマに書かれている『鬼滅の刃』には、炭治郎と禰豆子以外にも多くの兄弟姉妹が登場します。また血縁関係ではありませんが、胡蝶カナエ、しのぶと栗花落カナヲの義姉妹や兄弟弟子の関係など、「(いろいろあるけれど)兄弟姉妹っていいな」と思う5組の兄弟姉妹をご紹介します。

兄妹の絆は、ふたりだけの間にとどまらない力となる

(C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
(C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

『鬼滅の刃』には、主人公の炭治郎と妹の禰豆子を含め、多くの兄弟姉妹が登場します。これは、この作品が家族の絆をテーマに描かれているのも理由でしょう。さらに、血縁関係ではありませんが、胡蝶(こちょう)カナエ、しのぶと栗花落カナヲ(つゆり・かなを)の関係もあります。

 この記事では、『鬼滅の刃』に登場する、「(いろいろあるけれど)兄弟姉妹っていいな」と思う5組の兄弟姉妹をご紹介します。

※この記事では、まだアニメ化されていないシーンの記載があります。原作マンガを未読の方はご注意ください。

●竈門炭治郎と禰豆子の兄妹

 6人兄弟の長男である炭治郎は家族思いで、早く亡くなった父の代わりによく働く優しい少年。長女である禰豆子もまた、両親や兄の言うことによく従い、自分のことよりも弟や妹を優先し、その世話もよくする家族思いの優しい少女でした。

 そんな家族が鬼に襲われて殺され、ひとりだけ生き残った禰豆子も鬼にされてしまったことが炭治郎の人生を大きく変えます。それまで刀も持ったことがなかった炭治郎が厳しい修行を積んで鬼殺隊の一員となって人を喰う鬼たちと戦い、鬼の始祖である鬼舞辻無惨(きぶつじ・むざん)を倒すための熾烈な戦いに身を投じるのです。

 一方の禰豆子は、鬼になる前後で性格が一変し、子供っぽく、甘えん坊になります。炭治郎に頭をなでてもらう時の禰豆子はとてもうれしそうです。

 しかし、禰豆子はただかわいいだけ、炭治郎に世話をかけるだけの存在にはなりませんでした。彼女は、育手である鱗滝左近次(うろこだき・さこんじ)がかけた暗示によって人間を襲わないばかりか、自らも鬼でありながら人間を守るために炭治郎とともに鬼と戦うのです。

 炭治郎は、鬼に襲われて目覚めたばかりの時に自分を襲ってきた禰豆子を、そして、遊郭では上弦の陸との戦いで鬼化が進み人間を襲おうとした禰豆子を、体を張って止めています。禰豆子もまた、炭治郎の危機を何度も救っています。最終決戦の最後の最後では、兄と妹の立場が逆転しますが、禰豆子は炭治郎がしてきたのと同じように、身を挺して兄を止めようとするのです。

 困難な場面にあっても、絶望の淵にあってなお、互いを思い、けっして見捨てることはないのが炭治郎と禰豆子の兄妹。そしてそんなふたりを伊之助や善逸、カナヲの鬼殺隊の同期や柱たち、鬼でありながら無惨の支配を抜けた珠世、彼女が鬼にした愈史郎など、多くの人々が助けます。兄妹の絆はふたりだけのものにとどまらず、まわりの人々も巻き込み、鬼のいない世界をつくるという大きな目標を実現する力ともなっていくのです。

●上弦の陸・妓夫太郎と堕姫の兄妹

 遊郭に巣食う鬼、「上弦の陸」の妓夫太郎(ぎゅうたろう)・ 堕姫(だき)の兄妹は、炭治郎と禰豆子の兄妹とは陰と陽、コインの裏表の存在と言えるでしょう。

 花街でも最下層に生まれ育ったふたりは、お互いだけを頼りに生き、死を前にして上限の鬼である童磨(どうま)に出会い鬼となりました。一方、炭治郎と禰豆子は、水柱・冨岡義勇(とみおか・ぎゆう)に出会い導かれて鬼を倒す側に……。2組の兄妹の運命は、ほんの少しの偶然によって、こうも大きく違ったのです。炭治郎も妓夫太郎の頸に刀を当てながら思っていました。もしかすると、鬼に堕ち、こうして頸を斬られようとしていたのは自分かもしれないと……。

 戦いが終わり、炭治郎と禰豆子が妓夫太郎と堕姫の頸を見つけた時、兄妹は頸だけになり、朽ちながら激しくののしり合っていました。お互いを責め、その存在まで否定するふたりの言葉を聞いて、炭治郎はそっと妓夫太郎の口をふさぎます。「嘘だよ 本当はそんなこと思ってないよ」「全部嘘だよ」と。そして、「仲良くしよう この世でたった二人の兄妹なんだから」と……。

 妓夫太郎は自分が妹の運命を不幸なものに変えてしまったのではないかと地獄の手前で後悔していました。しかし堕姫は兄を見つけると、その側を離れようとせず、「何回生まれ変わってもアタシはお兄ちゃんの妹になる絶対に!!」とその背にしがみつくのです。何度生まれ変わっても鬼になると思うほど、世を恨む妓夫太郎と、何度生まれ変わっても、そんな兄の妹になるという堕姫。放送が待ち遠しいTVアニメ『鬼滅の刃 遊郭編』では、そんなふたりの強いけれど悲しい絆に涙が止まらなくなるはずです……。

●継国巌勝と継国縁壱の兄弟

 後に上弦の壱・黒死牟(こくしぼう)となる継国巌勝(つぎくに・みちかつ)と日の呼吸の使い手で「始まりの呼吸の剣士」と呼ばれる継国縁壱(つぎくに・よりいち)は、もともと、戦国時代の武家に双子として生まれた兄弟でした。

 当時、跡目争いの原因になるとして双子は不吉とされ、縁壱は殺されるはずだったのを母が守り、10歳で出家させることを条件にひっそりと育てられることになったのです。兄である巌勝は、冷遇され、母離れもできない弟に同情的で、手作りの笛を与えるなど好意的でしたが、縁壱に剣の才能があることが分かり、縁壱が跡継ぎに浮上すると複雑な感情を抱くようになります。一方の縁壱は、兄の立場を守るため、母の死の直後、7歳にして出奔。巌勝の心の中には、彼の才能や母や自分に向けた優しさなどに対しての嫉妬と憎悪の気持ちが残ったのでした。

 縁壱はその後、身重の妻を子供ごと鬼に殺されるという悲しい出来事を乗り越え、鬼を倒す鬼狩りとして偶然、兄・巌勝と出会います。巌勝は縁壱の剣技を目の当たりにし、妻も子も地位もすべて捨てて自らも鬼狩りとなり、ともに剣技を磨くのでした。

 ある日、巌勝は縁壱に「後継をどうするつもりだ? 我らに匹敵する実力者がいない 呼吸術の継承が絶望的だ 極めた技が途絶えてしまうぞ」と問いかけます。これは後継者を心配する体を取りながらも、その言葉の裏には、自分たちこそが最強だという自負があり、この「自分たち」というのは、「自分たち兄弟」のことであり、最強のふたりが兄弟であるということをいうことを巌勝はことのほか誇らしく思っていたです。

 しかし縁壱は違いました。「私たちはそれ程大そうなものではない」と言い、「長い長い人の歴史のほんの一欠片」であり、後継が出てくることを楽しみにしている口調でした。それを聞いた巌勝は、「気味の悪さといら立ちで吐き気がした」と感じました。「自分たち兄弟」が特別ではないと言う弟。どんなに努力し、技を磨いても、縁壱の域に達せない自分、縁壱と同じ世界を見られない自分に対して「意味がない」と言われたように巌勝は感じたのかもしれません。

 その後、彼は無惨の言葉に乗って鬼となりますが、結局、命尽きる時まで、縁壱に追いつくことも、嫉妬心や焦燥感、敗北感から解放されることもありませんでした。最期の瞬間、巌勝は認めます。「私はただ 縁壱 お前になりたかったのだ」と。

 巌勝は父の叱責を受けても、弟を守る優しい兄でした。縁壱は自分を守ると約束し、笛をくれた優しい兄を慕い続けました。その思いは、変わり果てた兄を前にしたときの「お労しや 兄上」という言葉に表れています。自分の妻と子供を殺した「鬼」に自ら堕ちた兄。それでも兄を罵倒する言葉ではなく、兄に心を寄せ、縁壱は静かに涙を流したのでした。巌勝と縁壱。悲しい運命をたどった兄弟の間に最期まで愛情があったことが救いです。

【画像】お世話したい!妹キャラさく裂の禰豆子(5枚)

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