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早すぎた平成の大傑作『ダイレンジャー』 子供にはトラウマ級のグロ描写?

まだスーパー戦隊シリーズが「ニチアサ」になる前、金曜夕方に放送されていた『五星戦隊ダイレンジャー』は、のちの戦隊シリーズに大きな影響を与えたにもかかわらず、いま語られることは意外と少ない作品です。その理由は、思い出したくないトラウマ級の描写があるからかもしれません。

「転身だァァッ」からの「グロすぎだァァッ」…怒涛の終盤に注目

クライマックスで衝撃展開が待ち受ける、『五星戦隊ダイレンジャー』 (C)東映
クライマックスで衝撃展開が待ち受ける、『五星戦隊ダイレンジャー』 (C)東映

 まだ「ニチアサ」(テレビ朝日の日曜日の朝に放映されるアニメ、特撮番組の総称)という言葉もなかった1990年代は、特撮番組の冬の時代でした。『宇宙刑事ギャバン』に始まるメタルヒーローシリーズこそ健在でしたが、平成ウルトラマンは1996年に『ウルトラマンティガ』が始まるまで、平成仮面ライダーは2000年の『仮面ライダークウガ』までずっと放送されていなかったのです。そのため、毎週金曜日の17時30分から放送されていたスーパー戦隊シリーズは80年代後半~90年代初頭に生まれた世代にとっては特別な存在でした。

 そんな時代の真っただなか、1993年に放送されていたのが『五星戦隊ダイレンジャー』です。本作は前作『恐竜戦隊ジュウレンジャー』のファンタジー路線から一転、8000年の歴史を持つ中国の「ダイ族」の戦士たちがそれぞれ中国拳法を駆使して、妖力を持つ「ゴーマ族」と戦う……という熱血バトル系の色が強い設定でした。

 また、各メンバーを主役に据えたストーリーを本筋と並行してしっかり描くことで、これまでにない重層的な物語になっていました。例えばテンマレンジャー(ブルー)と、敵でありライバルでもある3バカゴーマ怪人との戦いは物語全体を通して繰り広げられた大茶番劇でしたし、シシレンジャー(グリーン)と同じダイ族で孔雀明王の化身・クジャクの悲劇の恋模様など、群像劇らしいドラマがあったことも本作の完成度を高めた一因でしょう。

 今となっては前作の『恐竜戦隊ジュウレンジャー』や次回作の『忍者戦隊カクレンジャー』が何かと注目されがちですが、『ダイレンジャー』の人気も相当なものです。93年生まれでリアルタイム世代ではないはずの女優・有村架純さんも、「スーパー戦隊シリーズのなかでも一番好きな作品」として本作を挙げ、アツく語っています。

 またマイケル原腸氏がデザインしたゴーマ怪人のインパクトも凄まじいものでした。なかにはファンの間でトラウマ級といわれているほど強烈な怪人もいます。特に「指輪官女」「ネックレス官女」「イヤリング官女」からなる三人官女は、高熱の時に見る悪夢を具現化したかのような根源的な恐怖を与える存在でした。

 しかし本当に視聴者の間で「トラウマ続出」だったのは、物語終盤の第49話の展開でしょう。今さらながら以下、相当なネタバレが含まれますのでご注意ください。

【画像】いま語る人が少ない『五星戦隊ダイレンジャー』の謎を解く公式本(4枚)

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