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『ジュウレンジャー』放送30周年 海外進出も実現、ヒーロー番組の歴史を変えた作品

初めて海外に輸出された戦隊作品 制作手法には「苦肉の策」も…

「パワーレンジャー」シリーズの第1作『マイティ・モーフィン・パワーレンジャー』は、『恐竜戦隊ジュウレンジャー』の一部映像と設定を輸出してアメリカで製作された。画像は同作のDVD-BOX(Shout! Factory)
「パワーレンジャー」シリーズの第1作『マイティ・モーフィン・パワーレンジャー』は、『恐竜戦隊ジュウレンジャー』の一部映像と設定を輸出してアメリカで製作された。画像は同作のDVD-BOX(Shout! Factory)

 このように、王道展開と新しさをほどよくミックスした本作は当初、それなりの数字を出したものの、ブームと呼ばれるほどの高い人気ではありませんでした。その停滞した雰囲気を一気に打破したのが、戦隊史上初の6人目のレギュラー戦士として登場したドラゴンレンジャーです。

 ライバル要素のある敵として登場したドラゴンレンジャーは実験的な意味合いで投入されたキャラで、当初はゲストとして扱う予定でした。ところが、人気が期待できるキャラということで、早い段階からレギュラー化が決まったそうです。

 こうしたスタッフの読みは的中し、ドラゴンレンジャーの搭乗するドラゴンシーザーや、専用武器である獣奏剣のオモチャは飛ぶように売れ、本作の人気を一気に押し上げました。こうして年間のオモチャ売り上げは90億円を超え、この高評価から戦隊シリーズでは6人目の追加戦士が定番化されます。

 ちなみにドラゴンレンジャーの登場でタイトルの「ジュウ」が「10」であると噂され、さらなる追加戦士の登場がささやかれたことも当時ありました。スタッフはあらかじめそのことを懸念していたため、タイトルには「獣連者」と入れていたそうです。もっとも、後の恐竜モチーフのシリーズ第37作『獣電戦隊キョウリュウジャー』では、実際に10人の戦隊ヒーローが登場していました。

 こうしてシリーズの新しいフォーマットをいくつか築いた本作ですが、その勢いは国内にとどまらず、シリーズ史上初の国外展開がなされることになります。それが『マイティ・モーフィン・パワーレンジャー』。国外で展開するスーパー戦隊シリーズ「パワーレンジャー」シリーズです。

 この海外進出は、単純に本作を輸出して放送するわけではありません。アメリカでは日本人だけが登場する作品が受け入れられないこと、攻撃方法の一部が暴力的に見えて放送コードに引っかかるなどの問題があったからです。

 それでは全部作り直すのかというと、そこも問題で、アメリカで特撮部分を撮影すると日本の10倍ほどの予算がかかりました。時間的にも難しく、実際にアメリカ側が日本と同じモンスターの着ぐるみを作ると1年間で2体作るのがやっとだったそうです。

 そこで、「特撮部分は日本のものをそのまま使い、ドラマ部分をアメリカで製作する」という折衷案となりました。このアイデアが上手くいって、アメリカでのオモチャ売り上げは初年度から10億ドルを超えたものになったそうです。

 こうして本作がきっかけで海外進出を果たしたスーパー戦隊シリーズは、本作の数年前までささやかれた「シリーズ終了」の危機を脱し、現在まで続くロングランのきっかけとなりました。それだけに、本作がシリーズの中で果たした役割は大きなものだといえるでしょう。実際に、歴代戦隊の人気投票などでは比較的上位に位置することが多いのも納得できます。

 最初は不安視されていた「恐竜」というモチーフも、戦隊シリーズだけでも本作を含めて4回も使用され、他の作品でも人気のモチーフとしてたびたび使用されるほど定番化されました。本作が果たした功績は単純にスーパー戦隊シリーズだけにとどまらず、さまざまな分野の歴史に大きな影響を残したといっても過言ではないでしょう。

(加々美利治)

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