ツタヤのジブリコーナーにもある海外アニメ映画4選+α 美術館で特集される名作たち
まだまだある海外の素晴らしいアニメーション

●『ディリリとパリの時間旅行』
フランスアニメーション界の巨匠、ミッシェル・オスロ監督の作品です。ベル・エポック時代のパリを舞台に、ニューカレドニアからやってきた少女公ディリリが、パリで発生している少女誘拐事件を解決するために奔走します。
当時のパリは、華やかですが博覧会で植民地の人々を見せ物のように展示したり、「男性支配団」という組織が暗躍したりと、差別も今よりずっと色濃かった時代として描かれています。そんな時代を背景に、肌の黒いディリリが配達人のオレルとともに、誘拐事件の真相を探るためにパリ中を奔走。パブロ・ピカソやマルセル・プルースト、キュリー夫人など100人以上の当時の有名人が登場し、ディリリに協力し、そのプロセスで当時のパリのカルチャーや風景を美しく見せていきます。
また、本作は背景に監督が撮影した写真を用いており、アニメキャラが実景のなかで躍動するというユニークな映像を作り上げています。
●『ベルヴィル・ランデブー』
フランスのアカデミー賞にあたるセザール賞で作品賞や、米国アカデミー賞長編アニメーション部門にもノミネートされ、世界中で絶賛されたフランスのアニメーション映画。過剰なまでにカリカチュア(誇張)されたユニークなキャラクターデザインが特徴で、誘拐された孫を助けるために、おばあちゃんが犬とともに大冒険を繰り広げる物語です。
ツール・ド・フランスに出場する夢を叶えるために頑張っていた孫がマフィアに誘拐され、おばあちゃんは孫の救出のために犬のブルーノとともに大都市ベルヴィルへと旅立ちます。そして道中、「伝説の三つ子の姉妹」などの老婦人の助けを借りて、マフィアを追い詰めていくのです。バンド・デシネ(フランス語圏のマンガ)出身のシルヴァン・ショメ監督独特の世界観が存分に展開されており、ブラックユーモア満載ながらも可愛い雰囲気を失わない作品です。
●ジブリ特集作品だけではない素晴らしい海外アニメ作品たち
ここ数年は、ディズニーやイルミネーションと言ったメジャーなスタジオの作品だけでなく、様々な国のアニメーションが日本でも数多く公開されるようになってきています。昨今はスタジオジブリだけでなく、ニューディアー、チャイルド・フィルム、リスキットといった会社がエッジの効いた海外アニメーション作品を積極的に配給しています。
たとえば、チャイルドフィルム配給の『ウルフウォーカー』は、近年世界的な注目を受けるアイルランドの「カートゥーン・サルーン」というスタジオが制作。このスタジオはアカデミー賞ノミネートの常連でもあり、今最も勢いのあるアニメスタジオのひとつです。また、ニューディアーが配給したブラジルのアニメーション作品『父を探して』は、全編台詞なしで出稼ぎから帰らない父を探しに行く少年の冒険を色鉛筆やクレヨン、油絵など多彩な絵柄で表現した作品です。リスキットは『この世界の片隅に』の主人公・すずを演じて話題となったのんさんが日本語吹替版の主役を務めた、『マロナの幻想的な物語り』を配給しています。こちらも、自由奔放なイマジネーションを駆使した幻想的な映像が見る人を魅了する作品です。
さらに近年はアジア各国でも個性的なアニメ作品が増加しており、台湾の『幸福路のチー』、中国の『羅小黒戦記』、韓国の『整形水』などが日本でも話題となりました。
普段見慣れた日本のアニメやアメリカの3DCG作品とは異なる魅力を放つ、海外アニメーションの数々。一度観れば、必ず刺激を受けるものばかりです。アニメーションは可能性が無限だからこそ素晴らしいものだと改めて再認識させてくれますし、こうした作品を観ると、日本独自のアニメの素晴らしさも相対的に、さらに深く味わえるようになるでしょう。
(杉本穂高)








