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常識ブッ壊して賛否…TVより先に最終回、劇場版『仮面ライダー龍騎』から20年

壊すことで新たに生み出された定番

鉄仮面の奥に、複眼が光るデザインが特徴的な仮面ライダー龍騎。画像は「フィギュアライズスタンダード 仮面ライダー龍騎 色分け済みプラモデル」(BANDAI SPIRITS)
鉄仮面の奥に、複眼が光るデザインが特徴的な仮面ライダー龍騎。画像は「フィギュアライズスタンダード 仮面ライダー龍騎 色分け済みプラモデル」(BANDAI SPIRITS)

『龍騎』に4つの最終回がある理由。それは、この物語が何度も時間を巻き戻して繰り返された世界だからです。つまり、劇場版も特番の2種類のエンディングも、時間を巻き戻されてリセットされた世界でした。

 すべては仮面ライダー同士を戦うよう仕向けた神崎士郎のたくらみで、望まない結末を迎えると時間を巻き戻し、新たなライダーバトルを始めていたわけです。ライダーバトルは、神崎というゲームマスターによって仕組まれた戦いでした。

 現在ではこういった手法は珍しくありませんが、20年前の当時は目新しい手法だったというわけです。もっともこの展開を明確に提示せず、示唆する程度にしたことで物語は謎解きの要素も含んでいました。

 当時の時間系列で解説すると、この時間を巻き戻す能力は本作のラスボスに位置する「仮面ライダーオーディン」の持つカード「タイムベント」の力で行われます。このオーディンがTV版に初登場したのが8月4日放送の第27話。タイムベントが使用されたのが8月11日放送の第28話でした。

 この第28話で神崎の思惑によって、オーディンが時間を巻き戻していることが判明します。これにより、翌週から公開になる劇場版が巻き戻された時間軸のひとつだったと暗に示していました。さらに特番ではTV版本編とはつじつまの合わない展開や設定を盛り込んで、神崎によって『龍騎』の世界は何度も繰り返されてきた世界だと視聴者に示します。

 その流れで迎えたTV版の最終回は、神崎が妹の優衣の説得を受け入れてライダーバトルのない世界に歴史を修正する展開で幕を下ろしました。つまりTV版で真の最終回を迎えた展開になるのでしょうか。

 ゲームでいえば、マルチエンディング方式でさまざまな最終回を迎えたことで、真のエンディングにたどり着いた形になったとも考えられます。もっとも、その後に作られた設定や後発のライダーシリーズに本作のキャラがゲスト登場することで、真のエンディングも本当にそうなのか疑問になってしまいました。

 この「仕掛け」もそうですが、それまでのライダーシリーズの固定概念を覆す数々の設定が『龍騎』では取り入れられています。前述したように「正義」でない仮面ライダーの登場。従来とは異なる、騎士のようなデザインの仮面ライダーたち。そして、改造人間や特別な能力を持った人間ではなく、カードデッキさえあれば誰でも仮面ライダーになれるという部分です。

 それまでの仮面ライダーの常識を『龍騎』で壊したことで、当時は作品の賛否が分かれていたこともありました。しかし、20年経った今振り返って見ると、『龍騎』で新しく作ったスタイルが、現在では当たり前になっています。

 この『龍騎』で仮面ライダーの常識を刷新したのが東映の白倉伸一郎プロデューサー。現在、『スーパー戦隊シリーズ』でも常識にとらわれない設定を組み込んでいます。『龍騎』のことを考えると、何年後かには戦隊も新たな常識が根付くのかもしれません。

(加々美利治)

【画像】デザインがユニーク! 『龍騎』の人気ライダーを見る(5枚)

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