『ウルトラセブン』放送開始から55年 視聴者をときめかせたアンヌ隊員の魅力とは?
アンヌ隊員から渡された大切なプレゼント

モロボシ・ダンことウルトラセブンは、凶悪な宇宙人や怪獣たちと命がけの戦いを繰り広げました。でも、M78星雲出身のセブンは、なぜそこまでして地球人のために戦い続けたのでしょうか?
第1話「姿なき挑戦者」の脚本を読むと、本編からカットされたシーンがあることに気づきます。風来坊として現れたモロボシ・ダンは、クール星人の攻撃を受けたフルハシ隊員らウルトラ警備隊の窮地を救います。アンヌ隊員は「お礼に何かプレゼントしたいわ。あなたがいちばん好きなものは、なぁに?」とダンに尋ねます。
このときのダンは「地球!」と答え、アンヌ隊員を驚かせますが、アンヌはすぐに「さすがは風来坊さんね。スケールがあっていいわ。お望み通り、青く美しい地球を心をこめてあなたに差し上げるわ」と返すのでした。
第1話の脚本を執筆したのは金城哲夫氏です。『ウルトラマン』の人気エピソード、第33話「禁じられた言葉」の脚本も金城氏が書いています。メフィラス星人とサトル少年とのやり取りを、金城氏は『ウルトラセブン』の第1話で再現しようとしていたことが分かります。
本編ではオンエアされなかったものの、最終話までボロボロになりながらもセブンが戦い抜こうとしたのは、アンヌ隊員からの大切なプレゼントを守りたかったからかもしれません。
桜井浩子さんがゲスト出演した第12話の重要性
ウルトラヒロインを語る上で、実相寺昭雄監督が撮った『ウルトラセブン』の第12話「遊星より愛をこめて」を外すわけにはいきません。封印回として知られる第12話ですが、『ウルトラQ』『ウルトラマン』のヒロインだった桜井浩子さんがゲスト出演し、ウルトラヒロインのふたりが共演した貴重な回です。
桜井浩子さんは、アンヌ隊員の高校時代の友達役です。交際中の恋人の正体がスペル星人であり、地球人の新鮮な血を求めてスペル星人が近づいてきたことをアンヌから知らされ、大変なショックを受けます。愛する人に裏切られた女性の悲しみを、桜井さんは繊細に演じていました。
桜井さんが女心を巧みに演じた第12話「遊星より愛をこめて」を知った上で、最終話「史上最大の侵略」のダンからアンヌへの告白シーンを改めて見直すと、また違った感慨が湧いてくるはずです。初代ウルトラヒロイン・桜井浩子さんのゲスト起用は、ちゃんと意味があってのことだったのです。
人を信じることの難しさ、愛することの尊さを、『ウルトラセブン』の放送を通じて、アンヌ隊員はまだ幼かった視聴者たちに優しく教えてくれたように思います。放送から55年が経っても『ウルトラセブン』が忘れられないのは、多くの視聴者にとってアンヌ隊員が初恋の女性だったからではないでしょうか。
(長野辰次)
※本文の一部を修正しました。(2022年10月1日 9:40)




