仮面ライダーの敵組織「ゲルショッカー」結成50年 ドロドロの「内紛」には世相も影響?
悪による内部抗争 当時の世相を感じる「内ゲバ」とは?

当時、ゲルショッカーが誕生するまで、企画は二転三転したそうです。もともとは10月以降の第7クールにおける強化案のひとつとして考えられたものでした。この強化案には、ショッカーに変わる新組織の登場の他にも、1号が新組織に敗れて新しい姿にパワーアップする、新たな仮面ライダーである「3号」の登場、その3号も1号と2号がコントロールするロボット案から滝が改造される案など、さまざまだったそうです。
結果的に続編の製作が見えたことで3号は次回作に持ち越され、新組織の登場だけが強化案として決定されました。この新組織も当初はショッカーと同時に暗躍し、第3勢力として複数話登場する予定だったそうです。このコンセプトは結果的に新怪人ガニコウモルが数話登場するだけにとどまりました。
この悪の組織同士の内紛、実は参考になった出来事があります。それが当時の社会問題のひとつだった学生運動などで、たびたびニュースにもなった「内ゲバ(うちげば)」です。この内ゲバが組織交代に大きなイメージを与えたそうです。内ゲバとは内部ゲバルトの略称。ゲバルトはドイツ語で「暴力」を意味し、同一組織内での武力闘争を意味する造語です。最近はあまり聞くことはありませんが、当時は子供でも耳にした言葉でした。
武力闘争によって組織を再編する、まさに悪の組織に相応しい行動です。もともとショッカーもゲルダム団も首領の作った組織でした。つまり看板だけ変えるというやり方は計画倒産のようなものかもしれません。
しかし単に新組織に変わるというのは、これまでの大幹部を変えるというやり方と同じです。そこで無用になった旧組織のメンバーを粛清するという悪の組織らしい方法で、ゲルショッカーは最初から強いインパクトを与えました。
このように新組織が前組織に取って代わるという作劇は、その後のライダーシリーズでもたびたび見られます。
ゲドンの獣人ヘビトンボを裏切らせてガガの腕輪を手に入れたガランダー帝国。ブラックサタンを滅ぼして結成されたデルザー軍団。テラーマクロに弱点を与えてドグマを乗っ取ったジンドグマ。つねに悪の組織は前組織を解体させることで生まれてきました。
近年のライダーシリーズですと、悪の組織同士の対立はさらに複雑化していますが、ドラマとしてはキレイに整いすぎている感じがします。昭和の悪の組織のようなドロドロとした怨念に満ちあふれた交代劇は、現代ではちょっと難しいかもしれません。
(加々美利治)


