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『THE FIRST SLAM DUNK』は史上最も「原作に忠実なアニメ化」 自分がいる場所が分からなくなる体験

絶賛公開中の『THE FIRST SLAM DUNK』。原作『SLAM DUNK(スラムダンク)』の原作者井上雄彦先生が監督を務めただけのこともあってクオリティは極めて高く、全編を通して井上先生の絵がそのまま動いているという、原作に忠実なアニメ作りの理想形と言える作品となっています。未鑑賞の方は、ぜひ劇場へと足を運ぶべきと断言できる傑作に仕上がっています。

究極の原作再現

映画『THE FIRST SLAM DUNK』ポスタービジュアル (C)I.T.PLANNING,INC. (C)2022 SLAM DUNK Film Partners
映画『THE FIRST SLAM DUNK』ポスタービジュアル (C)I.T.PLANNING,INC. (C)2022 SLAM DUNK Film Partners

「すごいものを観た」。
『THE FIRST SLAM DUNK』を観終えた筆者の率直な感想です。2016年に上映され大ブームを巻き起こした『君の名は。』以来、力の入った劇場アニメが増えていますが、興収400億を突破した『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』、Adoさんの歌う「新時代」が話題となった『ONE PIECE FILM RED』などと並び、『THE FIRST SLAM DUNK』も間違いなくアニメの歴史に名を残す作品になるでしょう。

 すでに伝説と化している原作と共に、末長く語り継がれることは間違いありません。そう断言できるだけのことを、この映画はやってのけています。

※この記事には、 映画『THE FIRST SLAM DUNK』の本編内容に関する記述が含まれています。ネタバレを気にされる方はご注意下さい。

 本作で、主人公は桜木花道ではなく宮城リョータです。原作では三井とのいさかい程度しか触れられていなかったリョータの過去ですが、「週刊少年ジャンプ」1998年9号に掲載された短編「ピアス」で断片的な情報が語られており、『THE FIRST SLAM DUNK』ではさらに本格的に掘り下げられていきます。なお、「ピアス」は単行本などには未掲載だったため長らく幻の短編扱いされてきましたが、12月15日に発売された『THE FIRST SLAM DUNK re: SOURCE』に掲載され、ようやく誰でも読むことができる状況となりました。

 ストーリー展開としては原作最後の試合となった山王戦がメインとなり、合間合間にリョータの過去が明かされる形で進行していきます。

『SLAM DUNK(スラムダンク)』はかつて、TVアニメとして放送されましたが、全国大会に出場する前に終了しており、山王戦は初めての映像化となりました。原作者の井上雄彦先生が監督を務めただけのこともあってクオリティは極めて高く、全編を通して井上先生の絵がそのまま動いているという、原作に忠実なアニメ作りの理想形と言える作品となっています。この10年ほどで「原作に忠実なアニメ」は数多く作られてきましたが、そのなかでも「最も忠実な作品」を挙げるなら間違いなく『THE FIRST SLAM DUNK』になるでしょう。

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