「ファミコン世代」の親にゲームを買ってもらう交渉術 「仲間外れにされちゃう!」
兄弟をダシにすることも!?

●取り引きだけが交渉術じゃない! 味方を増やし、時には引くことも
ゲームを買ってもらう攻防は、シンプルな取引だけでは済まない場合も多々あります。「家のお手伝いとゲームソフトではつり合いが取れない」「勉強はご褒美がなくてもするべきもの」といった考えを持つ親が相手だと、条件を提示する取り引きはなかなか通用しません。
しかし、子供たちがゲームに傾ける情熱はこの程度で挫けたりはせず、別の手段を模索。「その熱意を勉強に向けて欲しい」という親の願いは届かないまま、交渉は新たな局面へと移行しました。
交渉で大事なのは、提案の内容だけではありません。状況を整えることで、話を有利に運ぶこともできます。その代表的な例として、味方を増やす──という手も有効でした。
交渉の多くは子供と親の1対1で始まりますが、ここで望ましい結果が得られなかった場合、もうひとりの親を味方につけることで状況の打開に繋がることがあります。父親なり母親なりが反対していても、もう片方の親が味方になれば勢力は2対1。数的有利の態勢です。
また、味方にする候補は親だけではなく、兄弟や祖父母なども貴重な戦力足り得ます。新しいゲームがくれば自分も遊べるため、兄弟はかなり手が組みやすい相手です。また祖父母を味方につければ、その関係性から親側も抵抗しにくくなります。
家族を味方につけて有利な状況を作るだけでなく、逆に家族をダシにする手もありました。例えば、兄が何かを買ってもらった時は、絶好の機会と言えます。「お兄ちゃんばっかりずるい」と不公平感をアピールし、その埋め合わせを狙うという展開です。
ですが、こういった攻めの姿勢による交渉は、頻度が多いと効果が薄れてしまうもの。ワンパターンな攻めは読まれやすく、慣れてしまえば簡単に聞き流されてしまいます。そんな時は、押すばかりでなく引いてみるのもひとつの手でした。
敢えておねだりを控え、言いつけを守って「いい子」で過ごしていると、親側が「何か欲しいものはないの?」と歩み寄ってくることがあります。しかし、ここで飛びつくのはやや早計。この段階だとちょっとしたご褒美程度の意識なので、数千円もするゲームソフトはまだ視野に入っていません。
何かを買って欲しい気持ちをぐっと押さえつつ、「今は特にないかな」と返してその場をやり過ごすと、そのあっさり対応がかえって気になり、親の記憶に残ります。こうしたやりとりを数回繰り返した後、満を持して「欲しいものがあるんだけど」と切り出すと、やっと言ってくれたという気持ちが沸くため、親側がOKを出しやすい心境になります。
もちろんこれは、個人差や環境差があるので、上手くいかない場合もありました。ですが、押しても効果がない時は、引くことで状況の好転を狙うのもひとつの手。忍耐と覚悟を必要としますが、回り道こそ一番の近道というのも案外真理です。
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親も子供も、お互い目の届く範囲でしか情報を集められなかった時代。だからこそ、立ち回りひとつで状況を有利に運ぶこともできました。とはいえ、やはり安いものではないので、成功率はむしろ低め。何度もチャレンジを繰り返すことが最大の秘訣だったのかもしれません。
ファミコンの時代からずいぶん時が経ちましたが、子供が親にゲームをねだる流れは今も変わらずに続いています。ですが、スマホゲームの課金アイテムなど、欲するものの形には変化が訪れている模様。10年後、20年後はどんなものをねだっているのか、想像してみるのも面白そうです。
(臥待)




