特撮史に残る大傑作?失敗作? 賛否が割れた『ガメラ3 邪神覚醒』 BS12で放映
20分の1のスケールで再現された京都駅での対決

第1作『G1』が怪獣映画の王道、第2作『G2』は本格的SF映画として高く評価されました。『G3』は恋愛要素を交えた一種の伝奇ファンタジーだと言えるでしょう。太平洋諸島で言い伝えられる「マナ」という考えが、『G3』の大きなモチーフとなっています。
脚本家の伊藤和典氏が盛り込んだ「マナ」という概念ですが、簡単に説明すると「万物に宿る超自然的な力、地球自身が持っている生命エネルギー」ということになります。『G2』で宇宙から侵略してきた強敵レギオンを倒すため、ガメラはウルティメイト・プラズマを放ちましたが、そのために地球上から、とりわけ日本の「マナ」が大量に消費され、ギャオスが日本に飛来し、イリスが誕生したというわけです。
せっかく『G2』ではガメラと人類は共闘することができたのに、『G3』のガメラは再び人間から嫌われる存在となってしまいます。ガメラへの憎しみからイリスと一体化する綾奈は、これまでの怪獣映画にはいなかった複雑に屈折したヒロインとなっています。
前2作から続投する樋口真嗣特技監督も、ありったけの特撮愛を『G3』に注いでいます。渋谷駅が崩壊し、センター街が火の海になる序盤は、観る人にとってはトラウマ級のパニックシーンになっています。クライマックスの京都での決戦シーン、ガメラとイリスが激突する京都駅ビルは20分の1のスケールで精巧に再現されています。ガメラの身を削った必殺技も見逃せません。
平成ガメラ三部作に皆勤した裏主人公にも注目
金子修介監督のリアリティーにこだわった演出、脚本家・伊藤和典氏が紡ぐ緻密なストーリー、樋口真嗣特技監督の特撮への異常な愛情が、前2作ではうまく融和し、興行成績以上に高い評価を受けています。シリーズ最終作となった『G3』は、金子監督いわく「3人の関係性が微妙に変わってしまった」とのことです。
監督、脚本家、特技監督が、それぞれのやりたいことを強烈に打ち出したのが『G3』でした。その分だけ、前2作に比べると『G3』は作品としてはアンバランスなものになってしまったようです。ビートルズに例えるなら、通称「ホワイト・アルバム」こと『ザ・ビートルズ』のような作品に『G3』はなってしまったのかもしれません。しかし、スタッフそれぞれの「最高に面白いものにしてやる!」という想いは、ガメラのプラズマ火球ばりの熱さを感じさせます。
三部作に皆勤した螢雪次朗さんの出演パートも、密かな見どころです。『G1』では長崎県警の刑事、『G2』では札幌ビール工場の警備員でしたが、『G3』では東京でホームレスとなっています。螢さん演じる大迫は、怪獣たちによって人生がめちゃめちゃになってしまいました。どん底にまで堕ちた大迫が『G3』では怪獣にどう向き合うのかも、ぜひ注目してみてください。
(長野辰次)





