特撮史に残る大傑作?失敗作? 賛否が割れた『ガメラ3 邪神覚醒』 BS12で放映
特撮ファンに人気の高い「平成ガメラ」三部作ですが、シリーズ最終作『ガメラ3 邪神覚醒』は内容がやや難解なこともあり、いまひとつの評価となっていました。しかし、情報量の多い作品が当たり前になった現在、改めて見直すと『G3』がとても面白く感じられます。『シン・ゴジラ』で特撮の面白さに目覚めた人も、ぜひご覧になってください。
公開当時は情報量の多さに戸惑った人も
大傑作か、それもと失敗作か。金子修介監督が撮った『ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒』(1999年)は、観た人によって評価が大きく割れる作品です。「特撮映画史に残る傑作」と評価する声もあれば、「内容がわかりにくい」という声もあります。
平成ガメラとして復活した『ガメラ 大怪獣空中決戦』(1995年)と『ガメラ2 レギオン襲来』(1996年)が絶賛されただけに、平成シリーズ最終作となった『ガメラ3』の評価は相対的に低くなってしまったようです。あまりの情報量の多さに、公開当時は戸惑った人もいるでしょう。
しかし、『ガメラ3』のメイキングドキュメンタリー『GAMERA 1999』(1999年)を撮った庵野秀明監督の大ヒット作『シン・ゴジラ』(2016年)などを経験した今では、『ガメラ3』はすごい映画だったんだと認識することができます。
2023年3月5日(日)の19時から、BS12の「日曜アニメ劇場 特別編」として放映される『ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒』の見どころを紹介するとともに、賛否が割れた理由も探ってみたいと思います。
ブレイク前の仲間由紀恵が餌食に
時代は1999年。地球の守護神であるガメラが、宇宙怪獣レギオンと戦ってから3年後という設定です。怪鳥ギャオスが渋谷上空に現れ、ガメラと死闘を繰り広げます。ガメラが吐くプラズマ火球によって、渋谷は大崩壊。1万人以上の犠牲者が出る大惨事となります。
一方、奈良の山村ではガメラを憎む少女・綾奈(前田愛)が、洞窟で不思議な卵のようなものを見つけます。4年前、ガメラとギャオスが東京で戦った際に、綾奈の両親は巻き添えで亡くなっていました。卵から生まれた謎の生物を、綾奈はかつて飼っていた猫の名前「イリス」と名付け、可愛がります。ガメラへの復讐心から綾奈はイリスを大切に育て、綾奈の心に感応して、イリスは急成長を遂げるのでした。
大きくなったイリスは、『新世紀エヴァンゲリオン』 に出てくる使徒を思わせる不気味な怪獣へと変化します(怪獣デザインは前田真宏氏)。「イリス、熱いよ」と綾奈がシャツのボタンを外し、イリスと一体化するシーンは妖しいエロチズムが漂います。
歌舞伎俳優の中村勘九郎さんと結婚した前田愛さんが、イリスと心を通わせ合う孤独な少女・綾奈を熱演しています。回想シーンに登場する4年前の綾奈は、前田愛さんの妹、前田亜季さんが演じています。
平成ガメラの完結編ということもあり、『G1』で鳥類学者・長峰真弓を好演した中山忍さんが再登場。ガメラに深い関わりを持つ少女・草薙浅黄に、三部作連続出演となる藤谷文子さん。さらにイリスに襲われてミイラ化する女性キャンパーを、『トリック』(テレビ朝日系)でブレイクする前の仲間由紀恵さんが演じています。金子監督の好みを反映し、美少女や美女だらけの怪獣映画となっています。