『シン・仮面ライダー』で庵野監督が言いたかったこと? キャッチコピーに隠された2つのアイテムとは
仮面ライダー「3種の神器」がキャッチコピーにつながる

もうひとつは仮面ライダーの首に巻かれた「マフラー」に意味を持たせたことです。
もともと仮面ライダーにとってマフラーは、変身ベルトやバイクと同じくアイデンティティ上で必要不可欠なものでした。しかしデザインの自由度を上げるため、最初に外された部分でもあります。『仮面ライダーBLACK』でデザインから外されて以降、マフラーをした仮面ライダーの方が少なくなりました。
思えば昭和の時代の等身大ヒーローにとって、マフラーは定番アイテムだったと言えるでしょう。それを今回、あらためてヒーローならマフラーをするべきという解釈で劇中に取り入れていました。
マフラーをしたことで第1バッタオーグは仮面ライダーとなり、第2バッタオーグも仮面ライダー第2号となります。チョウオーグが仮面ライダー第0号を名乗ったのもマフラーをしたからと解釈できるでしょう。逆に大量発生型相変異バッタオーグたちはマフラーをしていないことで、仮面ライダーを名乗れないと考えられます。一応、ショッカーライダーのオマージュとして黄色いネックカバーを首にしていますがマフラーではありません。
このマフラーに関してバイク乗りの必須アイテムという関連付け、もともと仮面ライダーの生みの親である緑川博士がそうだったという流れがとても秀逸でした。
筆者がこの2つのポイントに注目したのは、ともに昨今の仮面ライダーのシリーズで忘れかけていたものだからです。庵野監督は、「新作」を作ることでオリジナルを越えるのではなく、社会にオリジナルの魅力を拡げ、世間にオリジナルの面白さを再認識してもらうことが恩返しだと発言していました。
つまりオリジナルの『仮面ライダー』の魅力とは、この「バイク」と「マフラー」にあると考えたわけです。あえてもうひとつ挙げるとすれば「仮面」でしょうが、この部分は昨今のシリーズにも受け継がれている部分でしょう。
そして、本作『シン・仮面ライダー』のキャッチコピーは「変わるモノ。変わらないモノ。そして、変えたくないモノ。」でした。ここに前述の3点を当てはめると、変わるモノが時に四輪車になったり、モンスターになったり、CGで表現されるようになったバイク。変わらないモノが、改造人間から誰でも変身できるベルトになっても素顔を隠す仮面のヒーローであること。変えたくないモノがかつてのヒーローたちが身に着けていたマフラー。……そんな風に考えられます。
これはあくまでも筆者の考え方であって、庵野監督の考えとは違うものかもしれません。しかし、『シン・仮面ライダー』が庵野監督なりの昨今のシリーズに対するアンサーだと思います。庵野監督の作品から何を導き出すのか、人それぞれではないでしょうか。
(加々美利治)




