マグミクス | manga * anime * game

ドラマ『凪のお暇』で注目、コナリミサト作品の魅力は「人間性どんでん返し」?【少女マンガのトリセツ】

大きな奇跡は起こらない。けれど自由を手に入れる

『凪のお暇』 第1巻 (C)コナリミサト(秋田書店)
『凪のお暇』 第1巻 (C)コナリミサト(秋田書店)

「空気は読むものじゃなくて吸って吐くものだ……」

 その日をきっかけに凪は、自分の人生を見つめ直し、人生のリセットを決意するのです。
 
 凪は会社を辞め、都心の2LDKの家を引き払い、彼氏や知り合い全てと連絡を断ち、 SNSをやめ、郊外の6畳一間のボロアパートに引っ越します。
 
 凪の本当の姿は、癖毛を通り越したモジャモジャヘアー。彼氏の好みに合わせ、毎朝1時間かけて伸ばしていたサラサラロングヘアーもやめて、家財道具一切を断捨離した部屋で、自家栽培の豆苗を入れたすいとんをすする生活。

 何もかも無くなった凪が思うこと、それは「このすいとん、あの日食べたイタリアンより美味しいな」でした。

 大きな奇跡は起こらない。凪は今までを捨て、自由を手に入れたところからスタートし、一歩一歩前に進んで自分というものを再構築していくのですが、そこでも人の目を気にして、また空気を読んでしまいそうになるのでした。

 凪の行動や思い、気付きに、「私は私として生きているかな」と、毎日の生活が紙面上に薄く重なって見え、自分の自身を顧みたくなる作品です。

 今まで怖くてできなかったことは、やってみたら大したことではないのかも知れません。でも恐怖認定されすぎて、本人にはそれができるとはなかなか思えないもの。だからこそ、やってみた経験は大きな自分の財産になる。凪が歩む、凪らしさの積み重ねの先に、ワクワクせずにはいられないのです。

 そして、凪を取り囲む魅力的な登場人物たち。特に、凪にひどい仕打ちをした慎二の見方がどんどん変わっていく流れは圧巻です。どこまでもすれ違う2人の交差する道はあるのか、目が離せません。

 人は単純なものではない、そして本当に悪いやつはいないのかも知れない…そう思えるのは、とても気持ちの良い体験です。

 コナリミサト作品ではほかにも、『珈琲いかがでしょう』『恋する二日酔い』もオススメです。空気を読んで、息が詰まるような日々を過ごしている方も、そうでない方も、ぜひ読んでみてください。

(別冊なかむらりょうこ)

【画像】連載中のコナリミサト最新作/「節約家」凪ならではのコラボも

画像ギャラリー

1 2