ドラマ『凪のお暇』で注目、コナリミサト作品の魅力は「人間性どんでん返し」?【少女マンガのトリセツ】
2019年7月からTBSで放送予定の実写ドラマ『凪のお暇』が注目を集めています。原作マンガを手がけるコナリミサト先生は、読者の共感を誘う人物描写と、良い意味で読者の期待を裏切る物語構成で多くのファンに支持されています。
ページをめくるたびに、世界がひっくり返る

黒木華主演のTBS系金曜ドラマ『凪のお暇』の放送が2019年7月から始まります。コナリミサト先生が手がける原作マンガは、既刊5巻。2016年の連載開始直後からネットを中心に話題となった同作品の魅力について、少女漫画大好き芸人、別冊なかむらりょうこさんが解説します。
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初めてコナリミサト先生の作品を読んだとき、グラリと揺れる感覚に陥りました。毎話毎話ページをめくるたびに、世界がまるっとひっくり返るのです。
先生の作品の中には、人間観察の賜物なキャラクターが出てきては「いるいるこんな人! いたいたこんな同級生!」と共感してしまうのですが、その次のページでその感覚は見事に裏切られるのです。
「え? この人、こんなこと実は考えての行動だったの? え? これのための行動だったの? え? あれ? え?…そうか、前のページのあの言葉、あの表情はそういう意味だったのか!」と、何度もページを読み返してしまう。
それはマンガの内容にとどまらず、現実においても、「もしかしたら、あの人もこの人も、私が思っているのとは違う多面性を持っているのかも知れない…」と、人をテンプレートから外すキッカケになったりもします。
共感を生む観察能力と、ハッとさせられる流れを作る構成力を持つ、「人間性どんでん返し」メーカー。そんなコナリミサト先生が描く『凪のお暇』は、過去作に見る共感性と構成力に加え、主人公の凪が人生をリセットして再スタートを切る姿に、「これは他人事ではないわ…」と多くの読者を味方にし、コミックス累計発行部数は200万部超。各マンガ賞を総なめにしました。
この作品の大きなテーマになっているのが、「空気を読む」こと。主人公の凪は「空気読んでこ!」をモットーに、人に合わせまくる28歳OLです。
仕事を押し付けられることは日常茶飯事で、お弁当を作ってきたにも関わらず、同僚から「イタリアンのランチ行こう」と言われたら、笑顔で「行く」と即答。SNSのチェックが手放せず、唯一の生きがいが「節約」。
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