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黒歴史?理由を知れば意外と納得? アニメ化で賛否が起こった「原作改変」

マンガとは異なる楽しみ方ができる人気作品のアニメ化は、原作ファンも興奮することでしょう。しかし、構成の都合など「大人の事情」でアニメでは原作にはない設定や、演出の変更をされることもしばしばあります。今回は、ファンの間で賛否両論を巻き起こしたアニメ化作品を振り返ります。

アニメ化で作者の心残りも払拭?

TVアニメ『進撃の巨人The Final Season完結編(前編)』のアニ・レオンハートのビジュアル (C)諫山創・講談社/「進撃の巨人」The Final Season製作委員会
TVアニメ『進撃の巨人The Final Season完結編(前編)』のアニ・レオンハートのビジュアル (C)諫山創・講談社/「進撃の巨人」The Final Season製作委員会

 マンガが原作のTVアニメでは、構成の都合などの「大人の事情」で、オリジナル要素が盛り込まれたり、設定が変わったりしてしまうことがあります。その結果、原作に深みが出たと高評価の作品もあれば、反対に「納得がいかない」と批判の声が聞かれることも少なくありません。

 今回は、原作と異なる改変が賛否を呼んだTVアニメを3作品を振り返ります。

●『進撃の巨人』

 2023年11月4日に大団円を迎えたTVアニメシリーズ『進撃の巨人』にも、話題になった改変がありました。第23話で、主人公エレン・イェーガーの調査兵団の同期であるアニ・レオンハートが、兵団を襲った「女型の巨人」の正体が自分であることを突き止められたときの表情です。原作のアニは微笑む程度だったのですが、TVアニメでは頬を赤く染め、狂ったように高笑いするシーンへと改変されていました。

 原作と違う表情と、普段はクールで無口なアニの豹変ぶりに、ファンからは「あの表情にどんな意味があるの?」「アニは一体どうしたんだ?」と驚きの声があがりました。また、アニの恍惚とした表情に「普段から想像できないほど色っぽかった」と、独自の演出を支持する声もあります。

 このような反応が多かったからか、後日、作者の諫山創先生は自身のブログで改変の理由を明かしています。諫山先生自身も、単行本の発行後に「もっとこうしたかった」という心残りがあり、TVアニメでは諫山先生自らこのシーンを提案したそうです。

 また、諫山先生は同ブログ内で、「あれだけのことをやった怪物の正体が、ただの悪い奴に見えるのではなく『普通の人間』だったって感じにしたかった」とも述べています。

 諫山先生は、敵国のスパイであり感情を抑圧された精神状態のなかで過ごしてきたアニが、素性を知られてしまった時のほっとした瞬間をTVアニメ版のような高笑いという形で表現したかったのでしょう。実際に放送されたアニメについて、諫山先生は作画・演出・演技ともに「超 よかったです!!」と絶賛しています。

 諫山先生の意図を知ったファンからは「アニは自責の念や孤独に囚われていたんだろうな」「あのクールな性格は頑張って作っていたのかと納得した」などと評判で、アニというキャラに深みが出た改変となりました。

●『寄生獣』

 岩明均先生の代表作『寄生獣』は、1993年に「第17回講談社漫画賞」、1996年には「星雲賞コミック賞」を受賞し、実写映画も公開された90年代を代表する名作のひとつです。2014年から『寄生獣 セイの格率』のタイトルでTVアニメ化された際には、キャラクターや世界観がもともとの90年代の舞台背景から現代的に変わったことで、原作ファンから賛否を呼びました。

 アニメ放送中に2014年12月25日に掲載された日本経済新聞の記事「マンガ発映像化 ヒットを最大化する新セオリー」では、この改変は当時の映画・放送業界での戦略体制が影響したのではないかと分析されています。TVアニメシリーズと実写映画化が同時に発表された本作は、TVアニメ化により若年層へアピールし、実写映画化でさらに広く浸透させる戦略体制のなかで制作されたようです。

「大人の事情」を踏まえたTVアニメ版は、岩明先生の了承のもと時代背景や登場人物の外見、インターネット・スマホの使用などの細かな描写にアレンジが施されています。一方で、全体のストーリー展開とテーマ性はほぼ原作通りに表現されました。

 そんな『寄生獣 セイの格率』は、主人公やヒロインなど見慣れたキャラの外見の変化に当初は「最初見た時は違和感があった」と指摘する声もありましたが、根本的なテーマは変わらなかったこともあり「重点を置くべき描写はかなり丁寧」「最終話はほぼ原作に忠実」などと、最終的には高評価を獲得し、「いい改変」だったと言われています。

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