Z世代は現物見たことない、平成アニメで描かれた機器 昭和生まれは「あったよね~」と懐かしい!
2019年に平成が終わり、令和ももう6年です。平成の間に放送されたアニメのなかには、令和を生きる「Z世代」が見たことがない機器の描写があります。例えば、家庭用FAXやポータブルカセットプレーヤーなどが挙げられるでしょう。今回は、平成アニメの「時代」を感じる機器の描写を振り返ります。
オフィスではまだ現役だけど…?
2019年に幕を閉じた平成にはさまざまなアニメが制作されました。「平成アニメ」には、現在の10代から20代を指す「Z世代」が見たことがなく、昭和、平成初期生まれには懐かしく感じる機器がキーアイテムとして登場します。アニメで描かれた機器にはどのようなものがあるのでしょうか。
●家庭用FAX
FAXは、1985年の通信自由化をきっかけに一般家庭でも使われるようになりました。当時はインターネットや携帯電話が普及していなかったため、FAXは手軽に文や図の情報を正確に伝えられる便利なツールだったのです。
総務省の調査によると、FAXの一般家庭への普及率は平成21年にピークを迎え、57.1%を記録します。しかし、より手軽に素早く情報を伝えられる携帯電話やスマートフォンの登場をきっかけに減少していき、令和4年には30%となりました。現在、家庭用FAXを保有している人は40代以降が多く、10代から20代はほとんど保有していないようです。
そんな平成に活躍した家庭用FAXは、さまざまなアニメに登場しています。例えば、『クレヨンしんちゃん』ではひろしがFAXをもらってきてみさえがはしゃいだり、『こちら葛飾区亀有公園前派出所』では両津が作成した合成写真を誤って警察署にFAXしたりしたシーンなどが挙げられます。なかでも『名探偵コナン』では、特にFAXが活躍する場面があります。
第10話「プロサッカー選手脅迫事件」で、弁当に市販のFAXを取り付けた阿笠博士の発明品「弁当型携帯FAX」が登場しました。コナンは隠れながらこの道具を使うことで、秘密裏に依頼人から事件の概要を聞き出し解決へと導いたのです。
現在では、スマホやパソコンで気軽に文や写真を送れるようになったため、Z世代にとっては、プライベートでFAXを使う必要性はほぼないでしょう。しかし、連絡ツールが限られていた時代は、FAXが画期的なツールでした。ただ、オフィスシーンではFAXが現役で活用されていることも多く、学校とのやり取りなどに親世代が家庭用FAXを使用していることもありそうです。Z世代であっても「どういうものか全く分からない」わけではないでしょう。
●DATウォークマン
今でこそさまざまな携帯音楽プレーヤーがありますが、平成の初期はツールが限られていました。そのなかで活躍したのがポータブルカセットプレーヤーです。
昭和から平成にかけて活躍した、好きな曲を録音してリスト化できるカセットテープは、広く親しまれていました。ポータブルカセットプレーヤーはカセットテープを持ち運んで外でも聴けるようになり、若者を中心に広く普及したのです。
その後、テープにデジタル録音ができる「DATウォークマン」が登場しましたが、曲を豊富に録音できるうえに、よりコンパクトサイズになったMDが登場したことで、ポータブルカセットプレーヤーやDATウォークマンは衰退していきます。
そんな平成を代表するプレーヤーは『ジョジョの奇妙な冒険』第2部の最終回で主人公のジョセフが使用するなど、さまざまなアニメに登場しました。なかでも、プレーヤーが重要な存在として描かれているのが『新世紀エヴァンゲリオン』です。主人公の碇シンジはよく「S-DAT」というDATウォークマンで音楽を聴く姿が描かれています。
このS-DATは、シンジがひとりきりで聞いていることや、曲を繰り返し聴いたり次の曲へ進んだりすることから、ファンの間で心理状態や物語を表す存在だと考えられています。
そんな作中で大事な役割を担ったDATウォークマンですが、現在は生産が終了しています。TVアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』の放送は1995年で、その頃にはポータブルMDプレイヤーが普及し始めていました。作中でシンジが使っているDATウォークマンも、父親から譲られたものです。
昭和生まれにとってカセットテープは懐かしいもので、「鉛筆で巻いたよね」「大事な録音だったのに、テープがからまっちゃった」などと思い出話が盛り上がります。とはいえ、Z世代は現物を見たことがない人がほとんどでしょう。