『フォーチュン・クエスト』30周年で完結へ! 設定が意外と重くて容赦ない
1989年にシリーズ第一作が発売された深沢美潮氏によるライトノベル『フォーチュン・クエスト』が、2020年にとうとう完結。2019年年末から2020年にかけて「フォーチュン・クエスト 30周年記念 迎 夏生原画展」も開催中です。
『フォーチュン・クエスト』が2020年に完結
1989年にシリーズ第一作が発売された深沢美潮氏によるライトノベル『フォーチュン・クエスト』が、2020年にとうとう完結します。30年を超える長期刊行となった本作をかつて楽しんでいたライターの早川清一朗さんが、『フォーチュン・クエスト』との出会いと最終巻に向けての想いを語ります。
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ある日、仕事の合間にダラダラとツイッターを流し見していた時にそのツイートが目に飛び込んできました。
「30年続いたフォーチュン・クエスト、ついにエンディングです!」
このツイートを書き込んだのは『フォーチュン・クエスト』の作者である深沢美潮さんご本人。正直なところ「え!? まだ続いていたの!?」と驚いてしまったことをここにお詫び申し上げます。
『フォーチュン・クエスト』とは、1989年に角川スニーカー文庫で刊行が始まった、深沢美潮さん著作のファンタジーライトノベルです。イラストは迎夏生さん。とても明るく柔らかく、温かみを感じる絵を特徴としている方です。
筆者が『フォーチュン・クエスト』を読んでいたのは確か1989年からの数年間。「あれ? 完結してなかったっけ? でもそういえば何度か新作が発売されていたのを見かけた気が……」と少々混乱したので調べてみたところ、30年以上にわたってどのような形で続いていたのかを知ることができました。
1989年に刊行が開始された初代こと無印『フォーチュン・クエスト』は8巻で完結し、その後、担当編集者の転職に伴い電撃文庫へと移籍。『新フォーチュン・クエスト』がスタートしてこちらは 全20巻でいったん完結。続いて『新フォーチュン・クエストII』が始まり、これが最終シリーズになるようです。その他にもさまざまな短編や外伝も合わせると、40冊以上が刊行されていました。
パステル、クレイ、トラップ、キットン、ノル、ルーミィ、そしてシロちゃん。みんなの冒険はずっと続いていたのです。途中で離脱して申し訳ない……。
ちなみに『フォーチュン・クエスト』が刊行された頃はまだ「ライトノベル」という言葉がなく、「ジュブナイル」「ジュニア小説」「ヤングアダルト」または単に「ファンタジー」と呼ばれていました。これらが統一されたのは1990年代前半あたりなのですが、最終候補として挙がっていたのが「ライトノベル」と「ニートノベル」だったそうです。当時はニートという言葉も一般的ではなかったので候補に出てきてしまうのも致し方ありませんが、「ライトノベル」に決まって本当に良かったと思います。