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『スレイヤーズ』30周年!「ラノベ」という言葉がなかった時代に登場

1990年に第1巻が刊行されたライトノベル『スレイヤーズ』が、2020年で30周年を迎えます。5回のTVアニメ化に加えて劇場版も5回上映され、メディアミックスの一時代を築き上げました。新型コロナウイルス感染症の影響で中止になってしまったものの、「スレイヤーズ30周年記念イベント」も開催予定でした。

『スレイヤーズ』と出会った時代

『スレイヤーズ!』(富士見書房)
『スレイヤーズ!』(富士見書房)

 1990年に第1巻が刊行された、神坂一氏によるライトノベル『スレイヤーズ』が、2020年で30周年を迎えました。5回のTVアニメ化に加えて劇場版も5回上映され、メディアミックスの一時代を築き上げた同作は、2018年に18年ぶりとなる本編の続編『アテッサの邂逅』が発売されるなど、今なお高い人気を誇っています。30年前に書店で『スレイヤーズ』を手に取ってからの付き合いというライターの早川清一朗さんが、記憶を語ります。

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 むかしむかし、まだライトノベルという言葉が無かったころ、少年少女向けの小説はジュヴナイル小説、ジュニア小説、ヤングアダルト小説などさまざまな呼び方をされていました。

 しかし当時の読書好きの少年少女たちはそんなこととは関係なく、面白そうだと思えば片っ端から読んでいたのです。

 初めて筆者が『スレイヤーズ』を見たとき、あらいずみるい氏が描いたリナ・インバースの姿がひときわ目を引いたことを覚えています。

 当時の小説の絵は線が多い繊細なタッチのものが主流でしたが、真鍋譲治氏が表紙絵・挿絵を担当した『魔群惑星』シリーズや『聖刻の書』シリーズ(箸:渡邉由自)、迎夏生氏が表紙絵・挿絵を担当した『フォーチュン・クエスト』(箸:深沢美潮)など、アニメ寄りのタッチの作品も増えてきていました。男性が主流だった主人公も徐々に女性が増えてきていたのですが、それでも女主人公が正面、つまり読者に向けて魔法を放つ表紙絵と言うのは見た記憶がありませんでした。

 少し興味を惹かれて『スレイヤーズ』を手に取った筆者は、パラっと流し読みをして、「すごく読みやすいな」という印象を受けました。このころ筆者がよく読んでいた海外のファンタジー小説やSF小説の翻訳版は文章が重いことが多く、読むにはある程度時間と気合が必要でした。

 家でじっくりと読めるならそれでもいいのですが、通学中の電車や学校の休み時間といった、細切れの時間に読むのなら軽く読める作品の方が楽でした。というわけで筆者は『スレイヤーズ』を購入することにしたのです。

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