ウルトラマンにもあった「お蔵入り」映画。中止につぐ中止も、その「魂」は生き残り…
リメイク版『ウルトラQ』の紆余曲折と『怪獣聖書』のその後

『元祖ウルトラマン 怪獣聖書』の後、円谷プロは1985年に“円谷英二追悼作品”として『ウルトラQ 怪獣協奏曲(モンスター・コンチェルト)』を企画します。こちらの企画にも実相寺監督と佐々木氏が参加していましたが、クランク・イン寸前に製作中止となってしまいました。
その後、“平成ガメラ3部作”で知られる金子修介監督を中心に『ウルトラQ』のリメイク映画が企画されます。ガラモンやマンモスフラワーなど旧作の怪獣も登場するオムニバス作品の予定でした。ガラモンが登場する第3話の脚本は伊藤和典氏の手によるもので、ガラモンが地球の環境を改造するテラフォーミングマシンという設定でした。
円谷プロダクションの怪獣の商品化権をバンダイが握っており、本作のスポンサーであったセガが旧作の怪獣を使ったメディア展開ができないため、新規の怪獣が登場する内容へと、脚本を改訂することになります。しかし、予算がかかりすぎるということで、この企画は流れてしまいました。
金子監督版『ウルトラQ』が製作中止となり、最終的に公開されたのが実相寺監督、佐々木氏による『ウルトラQザ・ムービー 星の伝説』(1990年)です。地球の美しさを守るために現れた遮光器土偶の姿をした宇宙人“ワダツジン”の登場や、羽衣伝説や竜宮伝説をおりまぜた内容から、本作は先に紹介した『怪獣聖書』をベースにしていることがわかります。さらに佐々木氏が脚本を担当したドラマ『三日月情話』(1976年)、映画『聖母観音大菩薩』(1977年)に登場した要素も取り込まれ、本作は濃密な伝奇ロマン映画となりました。
バブル経済の観光開発に対して批判のまなざしが向けられたことから、本作『ウルトラQザ・ムービー 星の伝説』は、“失われていくかつての日本”という面が強調され、ベースとなった『怪獣聖書』よりも『怪奇大作戦』の「京都買います」へ先祖返りしたような作品となっています。
一方の金子監督版『ウルトラQ』ですが、ガラモンがテラフォーミングマシンだったという設定やマンモスフラワーのイメージは、金子監督と伊藤和典氏が後に手掛けた『ガメラ2 レギオン襲来』(1996年)へと転用されました。
当初の構想通りに発表されなかったのは非常に残念ですが、こうした流れで実現しなかった映像作品の企画を見てみると、それらの設定やイメージが何らかの形で世に送り出されているケースもあるということがわかります。私たちが目にしている映像作品の裏に、このような膨大な挫折や試行錯誤があると思うと、非常に感慨深いものがあります。
(森谷秀)






