作者自身も「ひどかった」と認める 初期と比べて絵の変化がすごいマンガ
絵だけでなく作品の内容に変化も

●『行け!!南国アイスホッケー部』
『さよなら絶望先生』でおなじみ、久米田康治先生のデビュー作が『行け!!南国アイスホッケー部』です。初期は「あだち充先生がルーツ」という昔ながらの絵柄でしたが、途中からは『さよなら絶望先生』寄りのシンプルな絵柄に移行しました。
この変化は、作風の変化によるものだったそうです。初期はアイスホッケーをテーマとしたスポーツコメディでしたが、その後は下ネタギャグが中心になりました。そこで久米田先生は「あんまり筋肉とか描くと生々しくなりすぎてしまう」と、絵を簡略化していったそうです。
とはいえ、初期も初の試合シーンで流血騒ぎが起きたり、暴動寸前のブーイングが起きたりと、一筋縄ではいきません。そこから、どう「下ネタギャグマンガ」へ変化していったのでしょうか。キャッチコピーにもある「久米田式お下品攻撃」、本編でご確認ください。
●『はねバド!』
「少女マンガから少年マンガに変わった?」と錯覚するほど、絵柄が大きく変化した『はねバド!』は、高校のバドミントン部を舞台にしています。初期の絵柄はラブコメマンガのようにかわいらしいものの、中盤からはバトルマンガのような、熱さあふれる絵柄に変化しました。
作者の濱田浩輔先生いわく、「個人的にはネームのほうが変わっている」とのことです。「マンガを描くうえで実力不足だった」「本格的なストーリーものを描く自信がなかった」という状態から、「本格的にスポーツをやろう」と考え、それに合わせて絵柄も変えたのだそうです。
絵柄の変化に注目されがちな『はねバド!』ですが、熱いスポ根ストーリーがキャラの心理描写とあいまって、「面白い!」と評判です。絵も初期の時点で、すでにとても綺麗ですので、第1巻から安定して楽しめる作品といえるでしょう。
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絵の変化が大きい作品は、その分作者の努力や創意工夫が伝わってきます。「良い作品にしたい」という、作者の思いの表れなのかもしれません。また、その変化を追うために読み返したくなるのも、魅力のひとつといえるでしょう。気になる作品があった方は、ぜひ読んでみてくださいね。
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(新美友那)