原作と違ってトラウマ級? 旧アニメ『ぬ~べ~』の「後味悪すぎ」最終回
新アニメ化も決まった『地獄先生ぬ~べ~』は、原作マンガではまさに大団円と呼ぶべきラストを迎えています。しかし、1996年から放送されたアニメは原作の途中、トラウマ回と名高い「まくらがえし」のエピソードで終わりを迎え、モヤモヤする余韻を残しました。
朝起きると大人になっていた郷子
2024年7月21日、1993年から1999年まで「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載された人気マンガ『地獄先生ぬ~べ~』(原作:真倉翔/作画:岡野剛)の新アニメ化が発表され、大きな話題を呼びました。SNS上では『ぬ~べ~』を懐かしむ声が多数出ており、なかでも「どの回がトラウマだったか」を語る人が目立ちます。
学園ホラーマンガとして、容赦ない恐怖回も多数描いてきた『ぬ~べ~』では、「てけてけ」「はたもんば」「海難法師」「ブキミちゃん」「メリーさん」など、名前を聞くだけで恐ろしくなる幽霊、妖怪が出てきた一方、妖怪自体はそこまで怖くないものの、トラウマと名高いエピソードもありました。
それが、原作第137話で描かれた「次元妖怪・まくらがえしの巻」です。1996年から1997年にかけて放送された旧アニメ『地獄先生ぬ~べ~』では、なんとこのエピソードが最終回でした。
※この記事は『地獄先生ぬ~べ~』原作マンガ、アニメのネタバレを含みます。
ある夜のこと、主人公「鵺野鳴介(ぬ~べ~)」のクラスの生徒「稲葉郷子」が寝ているところに妖怪「まくらがえし」が現れ、彼女の枕をひっくり返します。すると小学生だった郷子は、翌朝目覚めたとき、26歳になっていました。心は小学5年生のままの彼女は、当然パニックになります。
戸惑いながらも、自分が大学も出てOL4年目であることを思い出した郷子は、会社に出勤してキツい仕事をこなそうとします。しかし、昨日まで小学生だった彼女は、やはり受け入れられず職場を飛び出しました。そして、小学生時代からの親友「細川美樹」の元を訪れます。美樹は3つ子の母になっていました。
そこで郷子は、かつて両想いだったクラスメイト「立野広」と高校時代の大げんかが原因で別れ、さらに広が美樹と結婚していたことを知ります。ショックで泣く郷子に、美樹は「あの人なら助けてくれる」と、かつての恩師、ぬ~べ~の元を訪れるよう勧めました。
しかし、再会したぬ~べ~は、郷子たちの卒業から2年後に強力な悪霊との戦いで除霊に失敗し、それから全身まひの廃人状態で生きていたのです。想い人の雪女「ゆきめ」とも再会できず、ぬ~べ~のことが好きになっていた同僚の「高橋律子」先生に身の回りの世話をしてもらい、病院で暮らしていました。
それを見た郷子は、「こんなの現実じゃないよ!!」「帰して! 楽しかった あのぬ~べ~クラスの日々に!」と泣き叫びます。すると、ぬ~べ~が口を開き、郷子に憑りついていたまくらがえしを「鬼の手」で捕まえました。まくらがえしは、郷子の魂を違う世界に飛ばして困る姿を楽しんでいたのです。
そして、ぬ~べ~は郷子の魂を元の世界に戻してくれましたが、彼は自分が全身まひになった世界のことを「パラレルワールド」「たくさんある未来のうちのひとつ」と説明していました。ただの郷子の夢ではなく、ぬ~べ~に最悪の不幸が訪れる未来もあると分かるこのエピソードは、屈指のトラウマ回として語り継がれています。この「もしも」の世界は、後に連載されたイタコのキャラクター「葉月いずな」が主人公のスピンオフ『霊媒師いずな』に引き継がれ、読者に衝撃を与えました。