『ToHeart』の思い出 20年待っても「なでなで」マルチは発売されない!?
PS版は声優の演技が素晴らしかった

『ToHeart』の素晴らしかった点は、やはり『To Heart』にはなかったボイスが実装されたことでしょう。ヒロインの神岸あかりは川澄綾子さん、来栖川芹香&綾香を岩男潤子さん、いいんちょこと保科智子を久川綾さんが演じていました。さらには宮内レミィ役を笠原留美さん、松原葵役を飯塚雅弓さん、姫川琴音役を氷上恭子さん、雛山理緒役を大谷育江さん、長岡志保役を樋口智恵子さん、セリオを根谷美智子さん、そしてマルチは当時新進気鋭の堀江由衣さんが命を吹き込むという、一人一人がさまざまな作品でメイン級を担当している声優を揃いも揃えた一部の隙もない陣容となっていました。
ただ、当時の堀江由衣さんはまだ実績十分とは言えず、一部のマニアからはマルチという人気役を務めることに不安の声が上がっていました。ですが、堀江さんはその持てる才能を存分に発揮し感情を持つロボットという難しい役を見事に演じ切り、逆に大きな人気を得ています。その後の圧倒的な活躍は、ここで語るにはあまりにも長すぎるものになるでしょう。
水無月徹氏の描くキャラクターも、それぞれが魅力にあふれていました。またシナリオライターはPC版で見事なストーリーを書き上げた高橋龍也氏と青紫氏に加え、『White Album』で頭角を現した原田宇陀児氏を加えてリファイン及び加筆がなされていました。特にセリオはほぼ立ち絵のみだったPC版と比較して大幅に出番が増え、サブキャラながらもかなり存在感を増していたのがうれしいところです。
ちなみに水無月氏は2020年に新単行本『ワライヒメ』を出版するなど漫画家として活躍中、高橋氏は『アイドルマスター シンデレラガールズ』『エロマンガ先生』『刀使ノ巫女』など多くの作品でシリーズ構成や脚本を務め、大きな存在感を放っています。原田氏は小説家として活動していましたが、近年の活動内容は不明です。
そして青紫こと竹林明秀氏ですが2003年11月23日、バイクを運転中に信号無視のトラックに衝突され32歳の若さで亡くなりました。この場を借りて、改めてご冥福をお祈り申し上げます。素晴らしい作品をありがとうございました。あなたは私の青春の一部です。
(早川清一朗)








