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ウルトラマンやウルトラセブンは「青色」だったかもしれない? 赤色になった納得の理由

赤と銀のボディが昭和ウルトラマンのイメージカラーですが、もともとは「青」の可能性もありました。

ウルトラマンが青でなく赤になった理由は「現場」にあり

「ウルトラ特撮PERFECT MOOK VOL.1 ウルトラマン」(講談社)
「ウルトラ特撮PERFECT MOOK VOL.1 ウルトラマン」(講談社)

 平成以降のウルトラマンは「赤」でなく「青」「紫」などさまざまな体色をしています。いまや赤と銀のみで構成されているウルトラマン自体、少なくなってきています。

 では、ウルトラマンは最初から「赤」の予定だったのでしょうか。実はウルトラマン、そしてウルトラセブンのボディは赤でなく青の予定だったという話があるのです。これはいったいどういうことなのでしょうか。もし本当ならば、どうして青ではなくなったのでしょうか。

 まずデザイナーの成田亨さんの構想では、ウルトラマンの体色で最初に決まったのは地肌の銀色でした。宇宙時代に合わせ、ロケットのイメージと重ね合わせたものでした。

 そして印象的な体のラインは、「火星の模様」を参考にしたものでした。当時、どんな解像度の火星画像を参考にしたのかは不明ですが、試しにいま、「火星」で画像検索してみるとなるほど、確かに「ウルトラマンぽい模様」が確認できます。

 肝心のラインの色ですが、成田さんはこれを「青」にしようか「赤」にしようかずいぶんと悩まれました。最終的に「赤」に決定されたのは歴史が示すところですが、どうして赤と青の二択で、赤に決定されたのでしょうか。単に「赤が子供が好きな色だから」というだけではありません。もっと現場的な理由があったのです。

 それは合成用のブルーバック、そして背景で使用される空の青に被らないようにするため、でした。なるほど、これは素人でも腑に落ちます。合成で透けては困りますし、空から飛んでくる際に目立たないのも困ります(赤い東京タワーが青空に映えるのと同じ感覚でしょうか)。

 気鋭の芸術家でありながら、現場のプロでもあった成田亨さんならではの判断です。

 では次回作『ウルトラセブン』のセブンは最初から「赤」だったかといえば、やはり「青」だった可能性がありました。

 ウルトラマンのスーツアクターである古谷敏さんが非常にスラリとした体型だったのに対し、ウルトラセブンのスーツアクターを務めた上西弘次さんはがっしりとした体型でした。成田亨さんはまずデザイン面において足が長く見えるように、装飾は胸部より上に集中させ、そのうえでさらにスリムに見せるため、体色は青にしようとしていたのです。

 こちらも上記理由で結局は「赤」に落ち着きますが、ウルトラマンもウルトラセブンも当初は「青」の可能性があったことは驚きです。もし合成技術が当時から追いついていれば……彼らは地球と同じ青だったかもしれないのです。

主要参考書籍:
成田亨『特撮と怪獣 わが造形美術 増補改訂版』 (リットーミュージック)
青柳宇井郎、・赤星政尚『ウルトラマン99の謎 : 懐かしのヒーロー』(二見書房)

(片野)

【画像】えっ、新鮮! こちらが「青いウルトラマン」たちです(5枚)

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