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『影の伝説』大人になって知った「おまけ」の敗北感! 延々とさらわれるお姫様の思い出

1986年4月18日にタイトーから発売されたファミコン用ソフト『影の伝説』は、忍者がさらわれたお姫様を救出に行くという、少年の心を湧き立たせるストーリーとは裏腹の難易度の高さで当時の子供たちを苦戦させました。

日本にゲーム文化が定着しはじめた時期の良作

『影の伝説 (ファミコン マル勝シリーズ)』(角川書店)
『影の伝説 (ファミコン マル勝シリーズ)』(角川書店)

 1986年4月18日にタイトーから発売されたファミコン用ソフト『影の伝説』は、忍者がさらわれたお姫様を救出に行くという少年の心を湧き立たせるストーリー。ですが、それとは裏腹の難易度の高さで、当時の子供たちを苦戦させました。悪戦苦闘のあげくお姫様を救出したにも関わらず、またすぐさらわれてしまいガックリした記憶を持つライターの早川清一朗さんが当時の記憶を語ります。

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 1986年は、ちょうどファミコン雑誌の創刊が相次いだ時期と重なります。1985年に創刊された徳間書店の「ファミリーコンピュータMagazine」を皮切りに、「ファミコン通信」(現:ファミ通)「ファミコン必勝本」「マル勝ファミコン」の「4大ファミコン雑誌」が勢ぞろいしたのがこの年なのです。いま、このなかで残っているのは「ファミ通」のみ。34年の時の流れを感じます。

 しかしそれは、ファミコンが、すなわちゲームという文化が爆発的な人気を獲得し、定着しはじめた時期とも言えるのかもしれません。アーケードでも新声社の「ゲーメスト」がこの年に創刊されています。これは偶然ではないでしょう。

 そんな時代に発売されたファミコンカセットのひとつが、タイトーの『影の伝説』です。1985年にアーケードで発売されたタイトルの移植版で、主人公の忍者「影」を操り、ボスの「雪草妖四郎」率いる忍者軍団にさらわれた「霧姫」を救出するのが目的です。画面はマップによって縦と横にスクロールするアクションゲームでした。

 特徴的な和風のBGMを作曲したのは、小倉久氏。通称「OGR」として知られる、タイトーに所属するサウンドチーム「ZUNTATA」の初期メンバーです。他にも『ダライアス』シリーズや『ニンジャウォリアーズ』など、1980年代を代表するゲームミュージックを手掛けたレジェンドで、ZUNTATAのライブではキーボードを担当しています。現在はフリーのコンポーザー(作曲家・作家)として、オリジナルCDの発表やニコニコ動画に動画をアップするなどして活動しているようです。

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