「昭和ライダー」鮮烈な死! 現代では考えられない悲劇的な最期を迎えた味方キャラ
人類史上最強といわれながらも壮絶な最期を遂げた

昭和の「仮面ライダー」シリーズで、もっとも視聴者の心に残る殉職者といえば、やはり『仮面ライダーストロンガー』の「岬ユリ子」こと「電波人間タックル」の名前を挙げる人が多いことでしょう。
タックルは作品第1話からレギュラー登場し、主人公である「城茂」こと「仮面ライダーストロンガー」の相棒として活躍してきました。ストロンガーと同じく敵組織「ブラックサタン」に改造されましたが、手術途中で解放されています。そのため戦闘力は高いものではなく、戦闘員以上怪人未満くらいでした。
このタックルが命を散らしたのは、第30話「さようならタックル!最後の活躍!!」でのことです。敵の猛毒によって余命いくばくもない状態となり、禁断の必殺技「ウルトラサイクロン」を発動して、その短い生涯に幕を閉じました。
実は後にタックルが生き返る構想もあったようですが、実際には採用されていません。企画当初は、タックルも仮面ライダーのひとりというアイディアもあり、もしもそうであったのなら悲劇的な最期は迎えなかった可能性があります。
そして昭和はおろか令和の現代にいたるまで、変身しない生身の人間のなかで最強と呼ばれながらも死を迎えたのが、『仮面ライダースーパー1』に登場する「玄海老師」でした。
玄海老師は「仮面ライダースーパー1」こと「沖一也」の拳法の師である禅僧で、赤心少林拳の最高師範です。その実力は人間としてはケタ違いで、劇場版では怪人を倒したこともありました。この逸話から前述のような生身の人間としては最強という評価があるわけです。
その玄海老師も敵組織「ドグマ」の支配者「帝王テラーマクロ」が変身した怪人「カイザーグロウ」の前に敗れました。このカイザーグロウは不死身の体を持っており、玄海老師はその唯一の弱点が右肩であるとスーパー1に伝えるという重要な役目を果たして散っていきます。
劇中で圧倒的な強さを見せ、「主人公のスーパー1より強いのでは?」と思われた玄海老師の最期は、当時の子供たちには大きなショックだったことでしょう。もっともモグラ獣人やタックルと違って、玄海老師には生存説を唱える人もいます。なぜなら玄海老師は亡骸を残していないからです。
カイザーグロウのミサイル攻撃で吹き飛ばされた後、そこには何も残っていませんでした。実はそこから逃れて玄海老師は生きのびており、その後は陰から一也を見守っている、と考察する人もいます。実は企画当初、数年前から消息を絶っている玄海老師の行方を一也が探しているというプロットがありました。それを考えると、あり得る話でしょうか。
近年の「仮面ライダー」シリーズでも、味方側に何人もの死亡者が出ています。しかし、その後に何らかの展開で生き返ることが少なくありません。そう考えると、一度死んだ者はそのままという昭和の展開は、意外にハードだといえるでしょう。
(加々美利治)