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『帰ってきたウルトラマン』名前問題に終わりはあるのか? ファンの間でもいまだ争点

いまだにファンの間でどう呼ぶのかで問題となる『帰ってきたウルトラマン』。数あるウルトラトラブルでもっとも決着のつかない論争になります。はたして問題が終結するときはあるのでしょうか?

実は新たに名前を付ける必要がなかった企画段階の『帰ってきたウルトラマン』

2025年現在の公式呼称は「ジャック」ですが……。「S.H.Figuarts ウルトラマンジャック」(BANDAI SPIRITS) (C)円谷プロ
2025年現在の公式呼称は「ジャック」ですが……。「S.H.Figuarts ウルトラマンジャック」(BANDAI SPIRITS) (C)円谷プロ

 長年シリーズ展開してきた作品には世代間ギャップというものがつきものです。時には激しい論争のもととなるものですが、誰もが知っている「ウルトラ」シリーズでもっとも論争となるのが『帰ってきたウルトラマン』の名前問題でしょうか。

 本文では1971年の放送当時になぞらえて、『帰ってきたウルトラマン』の主役である「ウルトラマンジャック」を「ウルトラマン」、『ウルトラマン』の主役だった「ウルトラマン」を「初代ウルトラマン(初代マン)」と表記します。

 後述しますが、このウルトラマンの名前を番組放送後にジャックと名付けたことから名前論争は始まりました。それではなぜ途中から名前が付けられたのでしょうか。それはウルトラマンには固有の名前がなかったからです。

 その理由は番組企画時にありました。もともと『続ウルトラマン』として始まった企画は、明確に『ウルトラマン』のその後を描くものとして制作されます。

『ウルトラマン』から約30年後の地球に初代ウルトラマンが帰ってくるという設定で、科学特捜隊から引退した「ムラマツ」や「ハヤタ」が登場、「ベーターカプセル」で新主人公「バン ヒデキ(晩日出輝)」が変身するというものでした。つまり新しく名前を付ける必要がなかったのです。

 しかし商品展開を考えると、別なウルトラマンが望ましいというスポンサーの意向に沿うこととなりました。そこで身体のラインに縁取りがされたウルトラマンのデザインが考案されます。そのため当初は初代マンにラインを縁取りしただけのスーツが作られましたが、撮影中にライン自体も変更した、放送時と同じバージョンへと変わりました。

 こういった制作時のバタバタした状況が、新しいウルトラマンに名前を付けることを忘れさせたのかもしれません。このほかにも、時代的な風潮が理由だったのではないか……そう筆者は考察しています。

 奇しくも同じ1971年、『新オバケのQ太郎』『国松さまのお通りだい』『ゲゲゲの鬼太郎(第2作)』『スカイヤーズ5(第2作)』といった白黒TV作品のリメイクが制作されていました。つまり、あえて新しく名前を付ける必要がない空気感のようなものがあったのかもしれません。

 ところが『帰ってきたウルトラマン』は、他のリメイク作品にはなかった展開に足を踏み入れてしまいます。それが初代マンとの共演でした。もともと書籍では初代マンとウルトラマンは別人としてきたのですが、それを映像で実現してしまったわけです。

 もちろん当時の子供である筆者たちは大喜びで、結果的にこの試みは大成功でした。しかし、あらためてここで名称問題というパンドラの箱を開けてしまったといえるでしょう。『帰ってきたウルトラマン』最終回でも、何度か「初代ウルトラマン」という名前を出して差別化していました。

 しかし『帰ってきたウルトラマン』放送終了後も初代ウルトラマンという言い方が適切ではないという判断から、初代マンはウルトラマン呼びで固定されます。そして『帰ってきたウルトラマン』のウルトラマンの名前は時代と共に変わっていく定めとなるのでした。

【画像10枚】TVの前で絶望したよね…こちら「ブロンズ像のようにされたウルトラ兄弟」です

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