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「昭和100年」に読みたい未完の名作マンガ 「幻」となった結末に挑んだ作品も?

劇画ブームを巻き起こした『カムイ伝』

「カムイ伝 1 誕生の巻」 (小学館叢書)
「カムイ伝 1 誕生の巻」 (小学館叢書)

 昭和元禄と称された1960年代に、劇画ブームを巻き起こしたのは『忍者武芸帳』や『カムイ伝』で知られる白土三平氏です。とりわけ、1964年(昭和39年)に「ガロ」(青林堂)で連載が始まった『カムイ伝』は、非人の子として生まれ、やがて忍者となるカムイ、貧しい農民の子・正助、上流武士の家に生まれた竜之進の3人を中心に描いた重層的な群像劇として大人気でした。

 江戸時代の庶民の生活がありありと描かれ、また差別問題が大きなテーマとなっていました。第一部のクライマックス、大人になった正助は農民一揆を率いて、圧政を強いる徳川幕府に迫ります。階級闘争の物語として、学生運動世代の人たちから熱い支持を集めたそうです。

 第二部は1982年から「ビッグコミック」(小学館)で連載されましたが、予定されていた第三部は発表されないまま、白土氏は2021年に、実弟で第二部の作画を担当していた岡本鉄二氏もその4日後に亡くなり、『カムイ伝』は未完のままとなっています。

 忍者となり、その後は「抜け忍」となるカムイを主人公にした『カムイ外伝』は、松山ケンイチさん主演作として2009年に崔洋一監督が実写映画化しています。白土作品のファンを自認していた崔監督に公開時に話を聞く機会がありました。「できればシリーズ化して、いずれは『カムイ伝』も実写化したい」と崔監督は構想を語ってくれました。

 崔監督なりに『カムイ外伝』『カムイ伝』の展開と結末を考えていたように思います。残念なことに実写版『カムイ外伝』は撮影中の主要キャストの怪我や台風などのトラブルによって制作費が膨らみ過ぎ、シリーズ化されることはありませんでした。サバイバルの末に、カムイは本当の自由を手に入れたのか、安住の地を見つけることはできたのか、気になるところです。

 ちなみに、実写版『カムイ外伝』のアクション監督だった谷垣健治氏は、苦い体験を糧にして『るろうに剣心』(2012年)で大ブレイクを果たすことになります。

神々との決戦に挑む小説版『サイボーグ009』

『サイボーグ009』14巻(秋田書店)
『サイボーグ009』14巻(秋田書店)

 石ノ森章太郎氏の代表作『サイボーグ009』も、昭和の名作マンガとして忘れることができません。009こと島村ジョーをはじめとする9人のサイボーグ戦士たちが力を合わせ、強大な敵と戦うSFマンガです。日本人が大好きな集団ヒーローものの先駆作です。

 1964年に連載スタートした『009』は、「地下帝国ヨミ編」で一度完結しています。002ことジェットとジョーが燃え尽きて流れ星になるという、あまりにもせつないフィナーレでした。ところが読者からの反響が大きく、石ノ森宅に脅迫めいた手紙も届くようになり、新シリーズが再開されることになりました。

 再開された『009』は、人類を生み出した創造主である神々と「天使編」で戦うことになります。空前のスケールになると思われた「天使編」ですが、001こと天才児のイワンが「君たちに新しい力をつけてあげる」と告げたところで終わっています。

 石ノ森氏が1998年に亡くなり、『009』は未完となっていましたが、長男の小野寺丈氏が病床にあった石ノ森氏から伝えられた構想をもとに小説『サイボーグ009 完結編 2012 009 conclusion GOD’S WAR』として発表し、コミカライズもされています。サイボーグ戦士たちが次々と倒れ、003ことフランソワーズも失明してしまうという衝撃的な展開となっています。ただし、これを『009』の正式な結末とするかは、ファンによって意見が異なるのではないかと思います。

 今でも時折、考えます。「天使編」の最後に001が言った「新しい力」とはどんなものだったのかと。『009』の結末は、読む人それぞれに答えを委ねたものとなっています。

【画像】えっ、そうなのか! これが「未完の名作」結末に挑んだ作品たちです(7枚)

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