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戦闘機ってミサイル何発搭載できるものなん? ゲームでは100発超も…リアルでは?

リアル寄りの戦闘機シューティングゲームでも、ミサイル搭載数が100発を越えるのはままあることですが、実際の戦闘機にはどのくらい搭載できるものなのでしょうか。昨今はぐっと増えたものも見られるようです

10発に満たない搭載数でなぜ問題ないのか?

YouTube ACE COMBAT Channel「Nintendo Switch版『ACE COMBAT 7:SKIES UNKNOWN DELUXE EDITION』ロンチトレーラー」より
YouTube ACE COMBAT Channel「Nintendo Switch版『ACE COMBAT 7:SKIES UNKNOWN DELUXE EDITION』ロンチトレーラー」より

「敵機撃墜、ミサイル残数47」――ゲーム「エースコンバット」シリーズ(バンダイナムコエンターーテインメント)のプレイヤーにとって、このような状況は日常茶飯事です。初代PlayStationから家庭用ゲーム機を中心に展開されてきたこの戦闘機ゲームは、今日に至るまで「空の英雄譚」として多くのファンを魅了してきました。

 このゲームシリーズの魅力のひとつに、プレイヤーが操縦する戦闘機のラインナップが、現実に存在する機体を忠実に再現している点が挙げられるでしょう。航空自衛隊の主力戦闘機F-15「イーグル」、非常に派生型が多いSu-27「フランカー」、歴代シリーズで定番の最強機となっているF-22「ラプター」といった名機が多数、登場し、そのフォルムやコックピット視点に至るまで、マニア心をくすぐるディテールで丁寧に描かれています。

 ですが、熟練した航空ファンであればあるほど、ある種の「違和感」を抱かずにはいられないかもしれません。それは、戦闘機が搭載しているミサイルの「数」です。F-16に搭乗し、対空ミサイルを撃ち続けるうちに、気づけば50発、60発と使っていることがあります。これはもちろんゲーム的な都合、すなわち爽快感と戦術的選択の幅を担保するための仕様であると考えられ、ほかにも往年の名作『アフターバーナーII』(セガ)では100発までストックできる例などもあります。

 果たして現実の戦闘機は、実際にどれほどのミサイルを搭載できるのでしょうか。結論から述べますと、現実の戦闘機が搭載できる空対空ミサイルの数は、非常に限られています。

 たとえば、世界で最も配備数の多いF-16では、最大でも6発が標準です。これは翼下のパイロン(兵装懸架点)に搭載するという設計上の制約から来ており、空対空任務に特化させたとしても、視程距離外空対空ミサイルAIM-120「AMRAAM」4発と短距離空対空ミサイルAIM-9「サイドワインダー」2発に限定されます。F-15に至ってはやや多く、最大8発を搭載可能とされます。さらにロシアのSu-35は設計思想の違いから、14発のミサイルを懸架可能な機体として知られますが、それでも「エースコンバット」シリーズのように数十発といった数には遠く及びません。

 この数を聞いて「ずいぶん少ない」と感じるかもしれません。ですが、空戦という現実の戦場を考慮すると、実際にはそれほど不足する場面は無いようです。

 現代空戦はレーダーと電子戦を駆使した「視程距離外戦闘」へとシフトして久しく、AIM-120のような中距離ミサイルは、数十kmの距離から敵機をロックオンして撃ち落とす能力を持ち、戦闘機同士の交戦は短時間で、しかも1回のフライトで1度限りということが珍しくありません。多くの空戦記録において、1出撃回数あたりで実際にミサイルを発射した回数は、多くても数発程度にとどまっています。つまり、理論上6発から8発のミサイルが搭載できれば、通常任務には十分すぎるというのが、これまでの実戦の蓄積だといえます。

 ですが近年になってこの常識に揺らぎが生じています。それが、「無人機(ドローン)」の脅威の増大です。無数の小型ドローンが戦場を埋め尽くし、時に群れをなして基地を襲う……こうした光景は『エースコンバット7』においても描かれていましたが、現在ではウクライナ戦争や中東の実戦でも確認される現象となりました。これにともない、戦闘機の火力においても、「弾数の多寡」が重要性を帯び始めているのです。

 興味深い事例として、2025年に公開された米空軍の実戦画像があります。そこには、F-16の翼下に小型の誘導ロケット弾「APKWS II」が大量に懸架された姿がありました。その数、実に32発。これらは対ドローン用に開発されたもので、従来の空対空ミサイルよりも小型、軽量、安価であり、数の暴力に対抗する能力が求められる新たな空戦環境を象徴しているといえます。

 我々はゲームを通じ、大量のミサイルが必要とされる21世紀の空中戦の一端を経験していたのかもしれません。

ACE COMBAT(TM)7: SKIES UNKNOWN & (C)Bandai Namco Entertainment Inc.

(関賢太郎)

【画像】ゲームではなんてことない「32発のミサイル」リアルに懸架したF-16をチェック!

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関賢太郎

1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。

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