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あれ、「ウルトラの母」の顔、こんなだっけ? 微妙なデザイン変更はいつ起こったか

最近「ウルトラの母」の画像を見ると、『ウルトラマンタロウ』放送当時の記憶と食い違っている? いつの間にか、顔のあるパーツが変わっているのです。いつからあんなに凛々しくなってしまったのでしょうか。

最近の公式SNS画像で比較すると、違いは明らか?

「ウルトラマンシリーズ -Relax time-ウルトラの母」(BANDAI SPIRITS) (C)円谷プロ
「ウルトラマンシリーズ -Relax time-ウルトラの母」(BANDAI SPIRITS) (C)円谷プロ

 突然ですが皆さん、「ウルトラの母」の姿を思い出せますでしょうか? ウルトラの母とは、『ウルトラマンタロウ』で初登場したウルトラマンタロウの実母であり、直接の血のつながりはなくとも「ウルトラ兄弟」の母的な役割を果たす、あの「母」です。

「ウルトラの母」と聞くと、ほとんどの人は銀色の素肌に、銀色のおさげ(のようなもの)が特徴的な「母」の姿が思い出されたことでしょう。では、顔の部分にフォーカスして、ウルトラの母の「目」を思い出してください。黄色に輝くその目は、「つり目」でしょうか。それとも「たれ目」でしょうか? おそらく、多くの方が「たれ目」を、頭に思い描いたことと思われます。

 ところが、ここで認識の食い違いが生じます。現在、公式のキャンペーンなどで使用されている「ウルトラの母」の画像(例えば、2025年5月2日に円谷プロ公式Xアカウントに投稿された『ウルトラの母に花を贈ろう』企画のサムネイル)を見てみると、そこに映るウルトラの母の目は基本的に「つり目」寄りなのです。

 また、2020年発売の「ウルトラの母」のソフビ「ウルトラマン ウルトラヒーローシリーズ 71 ウルトラの母」(BANDAI SPIRITS)も、「つり目」です。もしかして、「たれ目」の母は、私たちのイメージが勝手に生み出した存在なのでしょうか……。もちろん、それも誤りです。

『ウルトラマンタロウ』の本編に登場する「母」の目は、(あくまでも他ウルトラ戦士との比較での話ですが)やや「たれ目」です。だからこそ、本来、無表情のはずのマスクから、何ともいえぬ慈愛を感じることができたのです。一体、いつから変わってしまったのでしょうか?

 母の目元の変化を改めて追ってみると……意外にも平成を待たず、昭和の時点で確認することができます。1984年に公開された映画『ウルトラマン物語』では、幼いタロウを育てている頃の「母」が描かれます。この時に使用された「母」のマスクの目は、これまでの目よりも明らかにつり上がっています。また頬から顎にかけてのラインも、いくらかシャープな印象です。

 なるほど、劇中時系列でいえば、『ウルトラマンタロウ』よりも『ウルトラマン物語』の方が先なので、「母の若い頃」を表現したマスク、と受け止めることも可能な気がします。

 そこで、それを確かめるためにも、作中の時系列において、明確に『ウルトラマンタロウ』の後、ということになる『ウルトラマンメビウス』に登場した、「母」のマスクをみてみましょう。すると……ここでの「母」の目は「つり目」なのです。つまり、「つり目」は「ウルトラの母の若い頃の表現」という線はここで消えます。そして、新たに作られてきた「ウルトラの母」のマスクは、理由はどうであれ、基本的には「つり目」路線に変更されていることが分かるのです。そもそも、「母」がたれ目だった時代は、想像以上に短いのです。

 現在の凛々しい目をした「母」も素敵ではありますが、やはり当初の「たれ目」寄りの「母」も、根強い人気を誇っています。

 ウルトラの母が初登場した前年1972年には、現在の「男女雇用機会均等法」へと直結する「勤労婦人福祉法」が施行されており、ある意味においてウルトラの母の登場は、女性の社会進出の変遷とともにありました。彼女の目の凛々しい変化は、その象徴といえるかもしれません。

(片野)

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片野

構成作家。1960年代カルチャーを好む。これまでに「ウルトラ」シリーズをはじめとする特撮番組、「ドラゴンクエスト」「ポケットモンスター」など国民的RPGシリーズ、ギャグマンガのジャンルで記事を多数執筆。

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