最強の「ウルトラ怪獣」とは? ゼットンでもタイラントでもない、「無敵」の実力とは
最強のウルトラ怪獣はどれでしょうか?ゼットン?それともバードン?2005年に登場した怪獣が歴史の転換点となりました。
「決着」もたらした怪獣がいた?

ウルトラマンシリーズに登場してきた数多くの怪獣たちのなかで、「最強」はどの怪獣なのでしょうか? 2026年は『ウルトラマン』(1966年)放送開始60周年の節目ということで、改めてファンの間でおなじみのこの問題に目を向けてみたいと思うのですが……。
実は、この「最強論争」に関してはおよそ20年前、とある怪獣がひとつの「終止符」を打っていました。もちろん、何をもって最強とするかは諸説あるところです。焦点となったその怪獣も含めて、『ウルトラマン』以降に登場した最強怪獣たちをおさらいしていきましょう。
真っ先に思い浮かぶのは、『ウルトラマン』に登場した「ゼットン」でしょう。何十体もの怪獣や凶悪宇宙人を倒していた「ウルトラマン」に、力で優ったゼットンは、当時間違いなく「最強」でありました。とりわけウルトラマンの多彩な技を次々に無効化していく様子は、絶望をもたらすには十分だったといえるでしょう。今もなおアイコニックな存在です。
また「ウルトラ兄弟」という概念が生まれて以降のウルトラシリーズには、今なお最強説が囁(ささや)かれる怪獣たちが複数登場します。
例えば、『ウルトラマンタロウ』(1973年)に登場した「タイラント」は、歴代ウルトラ戦士を苦しめていた強敵が合体した怪獣です。その強さたるや、劇中でも無敵と称される「ゾフィー」をはじめ、ウルトラ兄弟を次々になぎ倒していきました。一応、最後に「ウルトラマンタロウ」がトドメをさすことに成功しましたが、事実上ウルトラ兄弟を倒した怪獣でもあります。
また同作には他にも「バードン」がいます。バードンは3話にわたって暴れ回り、タロウやゾフィーを倒してしまう恐ろしい怪獣でした。このあたりも「最強論争」ではおなじみであります。

劇場版にも目を向けましょう。1984年公開の映画『ウルトラマン物語』では「宇宙の帝王ジュダ」が生み出した「グランドキング」という怪獣が登場しました。宇宙に漂う無数の怪獣たちの怨念が結集した怪獣です。名称からして、頭ひとつ抜けています。そのパワーは、ウルトラ兄弟が束になっても叶わないほどであり、フィジカル面では今も歴代最強との呼び声も高い怪獣です。
平成ウルトラマンシリーズでは、「最強」の描き方も多彩です。単に剛力というだけではなく、規格外の最強ぶりで魅せてくれます。その代表が、『ウルトラマンダイナ』(1997年)のラスボスとして登場した「グランスフィア」でしょう。この怪獣(?)は、「生命を持った惑星」といった方が早く、全長も1万2756キロメートルとまさに天体そのもので、他の惑星を次々に吸収していきました。
この宇宙規模の敵も、最終的に「ダイナ」が倒すことになるのですが、それと同時にダイナは光のなかへと消えてしまいました。平成ウルトラマン世代からすれば、「ゼットン」に匹敵する衝撃だったことでしょう。
さて、「他の惑星を吸収する怪獣」に勝る敵など存在するのでしょうか。ここで紹介したいのが、冒頭で述べた「最強論争に終止符」を打ったともいうべき異色の怪獣でした。
その怪獣は、『ウルトラマンマックス』(2005年)の第15話「第三番惑星の奇跡」に登場した「完全生命体イフ」です。「イフ」の強さをひとことで言えば「攻撃相手と同じ戦力で相手を攻撃する」というものです。
これは、バトルマンガなどではおなじみの「相手の能力をコピーして戦う」ということではありません。イフはもともとは単なる繭状の生命体です。戦意もありません。相手の攻撃と同じ方法で反撃する、そんな「システム」に生命が宿ったような存在なのです。焼夷弾が落ちれば、火炎放射可能な姿に変態し、反撃してきます。「ウルトラマンマックス」が光線技を放てば、二足歩行の姿に変態し、同じく光線技で反撃してきます。つまり、攻撃する限り、イフは倒せないのです。
では、どうやって倒せば良いのでしょうか? イフは刺激に反応するので、攻撃以外の刺激にも反応します。そう、それが例えば「音楽」だとしても……まさに「第三番惑星の奇跡」にふさわしいラストでした。気になった方はぜひとも、配信サービスなどで視聴いただければと思います。
このイフのエピソードは、その後の「最強論争」に一石を投じたのはもちろん、「強さとは何か」という、ウルトラマンシリーズに通底するテーマに、正面から向き合った傑作なのでした。
(片野)


