「アニメ・ゲーム」助成金、クリエイターへの配分は「ゼロ」 政府の支援なぜ届かない? 経産省の資料で明らかに
困難を極める現場へのリサーチ
そもそも支援を行う前の段階で、「現場の実情を把握する難しさ」という問題があります。
例えば、アニメの脚本家はクレジット(記名)が発表されるため次の仕事を探しやすいのですが、ゲームのシナリオライターは近年クレジットされないことも多く、次の仕事を探すための実績として提示できない問題もあります。脚本家とシナリオライターは近い職業に見えてまったく異なる待遇のため、このような細かい部分まで政府側でリサーチできているのかどうか疑問です。
クリエイターは「何かを作る」ことに特化した能力の持ち主が多く、生活のためにギリギリまで仕事を詰め込んでいる場合、もらえるかどうかわからない支援金のために自分の時間や労力を割くのは難しいという問題があります。結果として、公的な支援は補助金をもらえるだけの「事務能力」があり、情報をキャッチしやすい立ち位置にある大手企業が圧倒的有利となります。
これは決して悪いことではありません。近年大ヒットを飛ばした映画『国宝』や劇場版『鬼滅の刃 絆の奇跡 そして柱稽古へ』などが補助金を獲得しており、「大きな助けになった」と、コメントを残しています。この流れを小規模な制作会社や個人クリエイターへどう広げていくのかが、今後の大きな課題となるでしょう。
海賊版の対応、配信プラットフォームなどに支払う手数料の高さ、悪質なクリエイター仲介業者、生成AIの取り扱いなど、業界の難題は山積みです。しかし、何よりやらなければいけないのは、今後も新しく面白いものを生み出すクリエイターの育成であり、いま現場で身を削りながらものづくりをしている方々への支援です。
極めて難しい問題ではありますが、政府と業界がもっと連携を強めて、全力をあげて取り組んでほしいと考えます。
※参考文献:経済産業省「第11回エンタメ・クリエイティブ産業政策研究会」事務局資料(2026年1月30日)
(早川清一朗)


