『キングスナイト』FCではまだ新参だったスクウェア、TVCMを打ち出した意欲作
1986年9月18日、スクウェア(現:スクウェア・エニックス)からファミコン用カセット『キングスナイト』が発売されました。4人のキャラクターが交替でステージをクリアして合流し、ラスボスに挑む「フォーメーションRPG」と呼ばれました。
TVCMが異様にカッコよく見えた
1986年9月18日は、スクウェア(現:スクウェア・エニックス)からファミコン用カセット『キングスナイト』が発売された日です。地上の障害物や敵を倒しながら進む縦スクロールシューティングゲームで、4人のキャラクターが交替でステージをクリアして合流し、ラスボスに挑む構成となっているためか、「フォーメーションRPG」とも呼ばれていました。TVCMを見て欲しくなったのですが、買ってもらえず近所のおもちゃ屋さんの試遊台コーナーでプレイしていた記憶を持つ、ライターの早川清一朗さんが当時を回想します。
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最初に『キングスナイト』の存在を知ったのはファミコンの情報誌に書かれていた紹介記事だったはずです。確かその記事にはTVCMも放送されると書かれていたのですが、当時はアニメ原作以外のファミコンのゲームがTVCMになることはあまりなく、一体どんなCMなんだろうと楽しみにしていました。
そんなある日、偶然見ていたテレビから「キ~ン~グスナイト!」という声が流れ出し、ゲームの画面が映し出されたときは、「あ、本当にコマーシャルやってる!」と、かなり驚いた記憶があります。この当時のスクウェアは、ファミコンではまだ『テグザー』しか発売していない新興企業でした。子供が見ていたのですからゴールデンタイムの放送だったはずですが、この時間帯のCM枠は高額です。それだけ『キングスナイト』に賭けていたことが、大人になるとよくわかります。
当然興味を惹かれたので親にねだってみたのですが、このときは駄目でした。頼みの友達も、この年の7月から8月にかけては『ソロモンの鍵』『がんばれゴエモン!からくり道中』や『ワルキューレの冒険 時の鍵伝説』『北斗の拳』『高橋名人の冒険島』など多数のタイトルが発売されており『キングスナイト』にまで手が届いている人間がいなかったのです。
どうすれば『キングスナイト』をプレイできるだろう。そんなことを考えていたある日、思いがけない光景を目にします。
近所のおもちゃ屋さんの試遊台で『キングスナイト』が遊べるようになっていたのです。