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3月24日はTVアニメ『タッチ』の放送日。物語を動かした「死の影」の衝撃

「和也の死」をネタバレされる

達也と南のその後を描いたアニメオリジナルのTVスペシャル『タッチ ~Miss Lonely Yesterday あれから、君は…~』『~CROSS ROAD 風のゆくえ~ DVD』も作られた。画像は両作品を収録したDVD(バップ)
達也と南のその後を描いたアニメオリジナルのTVスペシャル『タッチ ~Miss Lonely Yesterday あれから、君は…~』『~CROSS ROAD 風のゆくえ~ DVD』も作られた。画像は両作品を収録したDVD(バップ)

 子供のころの筆者にとって、野球のアニメといえば『ドカベン』や『キャプテン』、『巨人の星』に『侍ジャイアンツ』といった熱血ド根性作品が当たり前で、恋愛を軸に据えた作品は見たことがありませんでした。

 しかし『タッチ』では上杉達也と和也、そして浅倉南との間の恋愛模様が丁寧に描かれていたのです。それでいて野球の描写もしっかりと作りこまれており、根底には熱血が秘められていました。野球と恋のライバルを同時に須見工の新田が担っていた部分などは、男でも女でも、子供も大人も楽しめる作品のお手本のような構成だと改めて思います。

 また、実力派歌手として知られていた岩崎良美さんが歌うオープニングテーマ「タッチ」は恋愛模様を描きながらも、どこか悲しさを暗示させる歌詞で非常に強い印象を残しました。特に最初のオープニングの電車の高架下で南が泣きはらしているカットは、この作品には何かすごい展開が待ち構えていることを嫌でも理解させられていたのです。

 ある日『タッチ』を観ているときに、「なんで南ちゃん泣いてるんだろうね」と筆者がつぶやいたのは当然だったと思います。明るく快活な南ちゃんが泣く理由など、まったく思い当たらなかったからです。しかしそのとき一緒にいた姉の口から出てきたのは、衝撃の一言でした。

「和也が死んじゃうからだよ」

 思わず口から「えーーーっ!?」と驚きの声が飛び出したことを覚えています。野球部のエースとして活躍し、周囲から南ちゃんとはベストカップル扱いされている和也が死ぬ理由が理解できなかったのです。ボクシングをやったりしてどこか頼りない兄の達也がこれから野球部に入って和也の後を継いでエースになると教えられ、唖然としたのです。

 そう、姉は原作の内容をすでに知っていたのでした。後にも先にもこれほど強烈なネタバレをされた記憶は、筆者にはありません。

 それからしばらくして、和也は本当に交通事故で亡くなり、南ちゃんは泣きはらし、達也は野球を始めます。このとき、『タッチ』はようやく序章を終えたところだったのです。主要人物を死なせる作品はしばしば存在していますが、これほど印象的に、効果的に作品の中に落とし込んだあだち充先生の天才性には、ただ脱帽するばかりです。

(ライター 早川清一朗)

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