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「テーゼ」「パトス」って? アニソンに登場する、意味を知らない謎単語

今や誰もが知るアニソンとなった『残酷な天使のテーゼ』。では「テーゼ」の意味を答えられる人はどれだけいるのでしょうか。この歌に限らず例え有名なアニソンであってもそういえば意味を知らない単語が潜んでいたりするもの。「テーゼ」から「ホンワカパッパ」まで“辞書的”な意味を調べていきます。

「パトス」は哲学用語…では「ホンワカパッパ」は? アニソン謎単語を総ざらい!

高橋洋子『残酷な天使のテーゼ 2009 VERSION』(キングレコード)
高橋洋子『残酷な天使のテーゼ 2009 VERSION』(キングレコード)

 JOYSOUNDが発表した「平成カラオケ」ランキングTOP50において1位に輝いたのは高橋洋子さんの『残酷な天使のテーゼ』でした。アニソン限定のランキングではなく全ジャンルの楽曲のなかでの快挙です。

 ところで、「テーゼ」とはどういう意味でしょうか。また歌中に登場する「ほとばしる熱いパトス」の「パトス」とは一体、何語でしょうか。いきなり問われると答えに窮する人も多いはず。歌詞の“解釈”は無限に存在しますが辞書的な意味なら答えることが可能です。そこで本稿ではそんな有名アニソンに登場する、そう言えば意味を知らないまま歌っていた、そんな単語たちを解説します。(※『タッチ』の「星屑ロンリネス」といった組み合わせによる造語表現は辞書的な意味を離れた解釈が必要となるので本稿では外しております)

●『残酷な天使のテーゼ』の「テーゼ」と「パトス」とは?

 辞書によるとテーゼ(These)はドイツ語で「定立」あるいは「命題」を意味する単語で「ある観念をまとめて表現・主張する文章」のこと。噛み砕いて言えば「正しい主張」であり、それに対する論を「アンチテーゼ」と言います。高校倫理で習うヘーゲルの弁証法がまさにそれです。

 続いて「パトス(pathos)」ですがこれはギリシャ語で情念を意味し、一般にロゴス(理性)の対義語として用いられます。英語読みすると「ペーソス」すなわち「哀愁」を意味する単語に変わります。「テーゼ」も「パトス」も比較的触れやすい範囲にある哲学用語だったことは特筆すべき点かもしれません。なお作詞の及川眠子さんは『新世紀エヴァンゲリオン』の完成映像を見ることなくこの詞を完成させたとのことです。

●『ONE PIECE』主題歌『ウィーアー!』の「“バイオリズム”乗っかって」

 アニメ『ONE PIECE』の第1期オープニング『ウィーアー!』もまたカラオケで定番のアニメソングです。サビ前の「個人的な嵐は 誰かのバイオリズム乗っかって思い過ごせばいい!」という詞は前向きなメッセージとして印象深いですが、そもそも「バイオリズム(Biorhythm)」とは何でしょう。よく耳にする単語ではありますが、これが定義となると難しいもの。小学館のデジタル大辞泉によれば「生物の活動にみられる一定の周期的な変動」とのことで、科学の専門用語にも思えますが、便宜的に使われる言葉のようです。作詞者の藤林聖子さんによればこの曲は詞が先にできていたとのこと。

●単語は分かっても、歌詞の意味は分からない『じゃりン子チエ』主題歌

 日本語でも分からないものがあります。アニメ『じゃりン子チエ』の主題歌である『バケツのおひさんつかまえた』は良い例です。のっけから「トラのふんどし ヒグマのパッチ ムカデのハブラシ ぶらさげて チャブスやまで ドンコつり」と関西圏以外に住む人間からすれば不思議な単語が並びます。ひとつずつ単語を調べていくと「パッチ」は関西方面で「股引」のことで「チャブスやま」は大阪にある「茶臼山」、「ドンコ」は池に棲息する淡水魚であることはわかるのですが、ひと通り辞書的な意味が分かったところで「じゃあヒグマの股引(パッチ)とは何?」となるのがこの主題歌の一筋縄ではいかないところ。作詞を手がけた原作者・はるき悦巳先生の才気があふれ出た詞でもあります。

●今なお続くドラえもんの「ホンワカパッパ」問題

 アニメ『ドラえもん』のテーマ曲「ぼくドラえもん」の詞も見過ごせません。作詞を担当したのは藤子不二雄先生です。幼な心に「ホンワカパッパ」の箇所が気になった方も多いのではないでしょうか。調べうる限り、これまでも数多の同志が解釈を試みた形跡が見受けられますが、概ねして「ホンワカ」=和やかな雰囲気、「パッパ」=リズムやノリといった具合で総じて「特別な意味はないだろう」というのが共通見解のようです。(“時限バカ弾”のエピソードで「ナンジャラモンジャラホニャラカピー」とのび太に言わせるような)藤子先生の特異な言語センスが表出したものと考えても良いかもしれませんね。

 ここまで「パトス」から「ホンワカパッパ」まで「単語の意味が分からないもの」「単語の意味が分かっても詞の意味は分からないもの」「どうやらもともと意味がなさそうなもの」とアニソンに潜む単語を掘り下げてきました。たとえその単語に「意味」はなくとも作詞者の「意図」は必ず存在します。「意味がない」ことを知ることもまたアニソンを楽しむ上で重要な視点と言えそうです。

(片野)

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