ウソだろ…? ファミコン時代の大容量カセット「●メガROM」に潜んでいた「罠」とは
ファミコンの時代も現代と同じように、ゲームの容量が「面白さ」や「大作感」を示す指標のひとつでした。現代の単位は主に「ギガバイト」ですが、実はそこには当時のお客さんの心を揺さぶる巧みな「罠」(笑)が隠されていたのです!
ファミコン時代のゲーム容量を表す単位「ビット」とは?

私たちがゲームを購入する際、容量も気にすると思います。容量が大きければ大作だという印象もあります。この時使われる最近の単位は「ギガバイト」ですが、1980年代に大ブームとなったファミコンの時代はどうだったのでしょう?
当時、ゲームカセットにおける大容量を示す単位は「メガ」でした。初めてこれをアピールしたのは、コナミが1986年7月に発売した『がんばれゴエモン!からくり道中』です。パッケージにも「2Mビット使用」と書かれており、当時少年だった筆者には、意味はわからないまでも強いインパクトがありました。
綺麗なタイトル画面、膨大なステージ数、音声サンプリングで「御用だ!」と叫びながら近づいてくる敵など、従来のゲームと大きく異なることは体感でき、これらが「2メガのおかげ」だと思ったわけです。
もちろんそれは正解でしょう。しかし耳慣れない言葉が使われています。「2メガ」に続く「ビット」という言葉です。現代の私たちが普段「メガ」と言う場合、そのあとに続くのは「バイト」であるはずです。「ギガ」も「テラ」も同様です。
実は「ビット」もデータ量の単位で、
ビット(bit)、バイト(Byte)、キロバイト(KB)、メガバイト(MB)、ギガバイト(GB)、テラバイト(TB)……のように続いていきます。ただし、
約1,000Byte=1KB
約1,000KB=1MB
……と単位が上がるのに対して、ビットの場合だけは
8bit=1Byte なのです。
そのため、「2メガビット」とは、バイトに換算すると8分の1の約250KBということになります。
これがどのぐらいの量なのかというと、同年にエニックスから発売された初代『ドラゴンクエスト』の容量が64KBで、従来のゲームのほとんどがこれ以下(32~48KB程度)でした。1985年発売の『スーパーマリオブラザーズ』(任天堂)も40KBです。
こう聞くと250KBはかなりの大容量ですが、現在のLINEのメッセージ1通が文字のみで約3KBらしく、フルHDのデジカメ写真(JPEG)は1枚約2MBなので、現代では小さすぎる量です。
ちなみに、2023年1月24日にスクウェア・エニックスから発売された『FORSPOKEN』のPS5版の容量は「87.28GB以上」だそうです。実に87,280,000KBです……比較しようにも全然分からないですね(笑)
ところで、ファミコン時代はこうした「容量アピール」が少しずつ増える一方「ビット」という単位は省略されていきます。
『未来神話ジャーヴァス』(1987年、タイトー)は箱・カセットに「2M」とあり、『スーパーマリオブラザーズ3』(1988年、任天堂)では箱の裏面と説明書に「3M」と記載があるものの、いずれも単位がありません。これはなぜでしょうか?