『スーパーの裏でヤニ吸うふたり』物語を成立させる喫煙という「薄い絆」
若者に対し「無害でいる覚悟」の魅力とは?

佐々木45歳、若い子に対して無害でいる覚悟
佐々木は、喫煙所での田山との交流について、いたずらされてもなお好んでいるようで、いじられることに一定の楽しみをもっている様子でもあります。
20歳以上も離れた女の子にいじられても機嫌を悪くすることがない佐々木の懐は深く、田山に感謝すらしていて、差し入れやちょっとしたプレゼントをしたりし気が利きます。また田山に対し、素直に教えを乞うたり、年齢的マウントをとらなかったり、武勇伝をひけらかすこともなく、出しゃばりません。いにしえの文化を自慢げに語らず、若者文化を知ったかぶりしないなど、おじさんの特有のダルさもありません。
一方で、リアクションが大きく、少々の卑屈さをもっていて、これが田山におちょくられる一因でもあります。そして彼の一番の特長は、田山の話を真剣に聞く「聞き上手」でいるところ。これは相手が若者でなくても、他人を惹きつける素養だと思います。
上記のように田山との交流を楽しんでいる佐々木には、この距離感を壊さないためにも誠実に向き合い、一切スケベ心を出さないという「無害でいる覚悟」のようなものを感じ、おじさんとしては見習いたところです。
喫煙者という「うしろめたさ」を共有する絆
リアル世界では、喫煙所はどの施設でも隅に追いやられ、そして喫煙者は、どこかうしろめたさを感じながらタバコをくゆらしているものです。そこで出会うメンツは必然的に顔見知りとなり、会話を交わすことなどほぼないですが、どこか「悪いことをしている(ようにしむけられている)」気持ちも心の隅にあるため、仲間意識がわずかに生まれます。とはいえ、それ以上の関係になることはほぼ皆無です。
『スーパーの裏でヤニ吸うふたり』を読むと、心のどこかでは佐々木と田山のように同性異性かかわらず、仲良くなれる「ヤニ友」を欲している自分に気づきます。マンガの今後の展開はわかりませんが、いつかスーパー裏を飛び出して違うタバコが吸える場所へ……などという妄想を掻き立ててしまいます。そして、ふたりの関係を自分のタバコライフにも重ね合わせロマンを抱き、今日もタバコに火をつけるのです。
(南城与右衛門)


