『進撃の巨人』いよいよグランドフィナーレへ 世界中で巻き起こった熱狂の秘密とは?
2009年にマンガ連載が始まり、世界中で大ブームを呼んだ『進撃の巨人』。当初はダークファンタジーものとして注目を集めましたが、巨人の謎が明かされるにつれ、民族紛争や歴史認識といったリアルな問題を盛り込んだ壮大な物語へと変わりました。NHK総合で放送される「The Final Season 完結編(後編)」を前に、『進撃の巨人』の魅力を振り返ります。
エレン・イェーガーが『仕事の流儀』に出演

諫山創氏の同名マンガを原作にしたアニメシリーズ「進撃の巨人」が、いよいよグランドフィナーレを迎えます。2023年11月4日(土)の深夜0時から「The Final Season 完結編(後編)」がNHK総合でオンエア。また、10月23日(月)には夜11時45分から同局のドキュメンタリー番組『プロフェッショナル 仕事の流儀』で、「エレン・イェーガー スペシャル」が放映されます。
全34巻となる原作マンガは、累計発行部数1億2000万部を超える大ベストセラーに。世界180か国以上で出版され、世界中で「進撃の巨人」ブームが起きています。三浦春馬さん主演で『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』『ーエンド・オブ・ザ・ワールド』(2015年)として実写映画化もされ、こちらも話題を集めました。ハリウッドでの映画化も企画されています。
しかし、「別冊少年マガジン」での連載スタートから14年、アニメシリーズの開始から10年が経ち、途中で脱落してしまった人も少なくないようです。
アニメシリーズの完結を前に、改めて「進撃の巨人」ブームを振り返り、世界を熱狂させた秘密を探りたいと思います。
「駆逐してやる」というエレンの誓い
平和な街にいきなり不気味な大巨人が出現! しかも、人間を次々と捕食する! 本作で連載デビューを果たした諫山創氏(当時24歳)のワイルドな絵のタッチもあり、『進撃の巨人』は第1話から強烈なインパクトを放ちました。主人公・エレンの母親が巨人に食べられる描写は、まさにトラウマシーンとして記憶されています。
高い壁に囲まれ、絶対に安心だと思われていた街の「安全神話」は、巨人たちの襲撃によって木っ端みじんに砕かれてしまうのでした。100年におよぶ平和を謳歌していた街の人たちに、群れをなす巨人が与えたものは「絶望」にほかなりません。
「巨人(あいつ)ら……を駆逐してやる! この世から……一匹残らず!」
そう誓ったエレンは、幼なじみのミカサ、アルミンたちと兵士としての訓練を積み、「調査兵団」に入隊。巨人の謎を解き明かすために、壁の外へと旅立ちます。アニメシリーズでは、立体機動装置によって宙を舞うミカサたちが巨人に空中戦を挑む様子が、とてもスリリングに描かれました。
巨人たちのグロテスクさとは対照的に、エレンたちの友情や勇敢さが気高く描写されています。絶望だらけの世界に立ち向かう主人公たちの姿に、多くのファンが魅了されました。