「現代のサムライ」藤岡弘、が主演した特撮4選 映画『日本沈没』は公開50周年!
お色気シーンに目を奪われがちな『エスパイ』

大ヒットした『日本沈没』に続いて、藤岡さんの主演映画が東宝で次々と公開されることになります。『日本沈没』の翌年のお正月には、同じく小松左京原作のSF映画『エスパイ』(1974年)が封切られました。
エスパイとは、エスパー(超能力者)とスパイとを組み合わせた造語です。藤岡さん演じる田村は、国連の秘密組織「エスパイ」に所属する諜報員です。彼らはサイキック能力を使い、世界平和のために闘います。エスパイ仲間を由美かおるさん、草刈正雄さん、加山雄三さんらが演じています。悪い逆エスパイのボスは若山富三郎さんと、かなり豪華なキャスティングです。
逆エスパイに催淫剤を注射された由美かおるさんがセクシーダンスを踊るシーンに意識が集中してしまいがちな『エスパイ』ですが、クライマックスに藤岡さんの見せ場が用意されています。
「愛だ。それがすべての超能力の源なんだ」
どんな超能力よりも、胸に響く名ゼリフです。並の俳優が口にするとクサい言葉になってしまいますが、藤岡さんは気合の入った声で決めてくれます。劇中のセリフとしてではなく、藤岡さんが本気で断言していることが伝わってきます。
現代に甦った武士を演じた『SFソードキル』
ハリウッド映画に初主演した『SFソードキル』(1984年)も、記念すべき作品です。藤岡さん演じる戦国時代の武士・多賀義光が氷漬け状態で発見され、現代の米国で目覚めるというぶっ飛んだ物語です。『仮面ライダー』と同様に、藤岡さんはオーディションでこの役をつかみました。
もともとの脚本では、義光はLAの街で日本刀を振り回す「殺人マシン」的なキャラだったのですが、藤岡さんはこの設定に反論。監督やスタッフを集めて、真剣で竹を斬ってみせる演武を披露したそうです。藤岡さんが見せた所作の美しさや日本刀の見事な切れ味に、ハリウッド側のスタッフは驚き、脚本を修正しています。
LAの日本食レストランに現れた義光が、三船敏郎と間違えられるギャグシーンもある『SFソードキル』ですが、藤岡さんはこの作品で全米映画俳優組合に加入することにもなりました。
45年ぶりの変身『仮面ライダー1号』
ここまで『仮面ライダー』以外の主演作を紹介してきましたが、やはり「藤岡弘=仮面ライダー」という印象が強い人は多いでしょう。70歳になった藤岡さんが企画・主演したのが、『仮面ライダー1号』(2016年)です。
キャリアを積んだ藤岡さんならではの重みのある変身シーンに、大杉漣さん扮する「地獄大使」との共闘シーンもあり、見どころの多い劇場映画となっています。「体をいたわれ、地獄大使」という名言も飛び出します。
テレビやスクリーンのなかで数々のヒーローを演じてきた藤岡さんは、実生活でもボランティア活動にいそしむなど、ヒーローとしての心を忘れずに毎日を過ごしていることでも知られています。
藤岡さんのお宅を取材で訪問したことがありますが、藤岡さんは特製のオーガニックコーヒーを淹れて、温かくもてなしてくれました。「おいしいです」と伝えると、うれしそうな笑顔を見せる藤岡さんでした。スタッフや共演者たちからも愛されているからこそ、藤岡さんは今も大活躍しているのでしょう。
子供の頃にあこがれたヒーローが、年齢を重ね、さらにかっこよくなっているなんて、すごいことだなぁと思います。
(長野辰次)




