「メカゴジラ」登場から半世紀 「ライバルを出したい」のアイデアから人気怪獣が誕生?
昭和から平成に…時代に合わせて進化していくメカゴジラ

その後に復活したゴジラ映画でもメカゴジラの登場した作品はいくつかありました。その最初となるのが『ゴジラvsメカゴジラ』(1993年)です。「ゴジラ生誕40周年記念作品」でもありました。
この映画に登場するのが、対ゴジラ組織「Gフォース」が開発した対ゴジラ超兵器「UX-02-93 メカゴジラ」です。つまり前作までの「ブラックホール第3惑星人の作った侵略兵器」とは違い、本作のメカゴジラは人間が作った防衛用ロボットでした。
ここで登場するメカゴジラは、対ゴジラ超兵器試作1号機である「UX-01-92 ガルーダ」と合体することで「スーパーメカゴジラ」へと姿を変えることができます。これは当時のロボット玩具で定番の、合体して強化形態というフォーマットを導入した形なのでしょう。
メカゴジラは他の東宝怪獣と違ってメカ怪獣という特殊な存在ゆえ、時代に合わせた大胆なデザイン変化が行われています。それは、この次に登場することになる『ゴジラ×メカゴジラ』(2002年)でも行われました。この映画に登場するメカゴジラは「3式機龍」と呼ばれています。
このメカゴジラはこれまでの機械のみで作られたロボットとは違い、1954年に死んだ初代ゴジラの骨格をメインフレームとし、それを利用したDNAコンピュータで制御されていました。それゆえ初代ゴジラの本能に支配されて制御不能の暴走状態になることもあります。
こういった部分から、アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』からの影響を思い浮かべるファンも多くいました。前述の通り、メカ怪獣ゆえにメカゴジラは時代ごとの影響を受けやすいのかもしれません。その時代に合わせたアップデートがメカゴジラの魅力なのでしょう。
このほかにもメカゴジラが登場した作品はいくつかあります。なかでも特異な存在が小説『ゲームウォーズ』(2011年)と、これを原作とする映画『レディ・プレイヤー1』(2018年)に登場したメカゴジラでしょうか。ここでは宿敵であるゴジラとは戦わず、小説では「ウルトラマン」、映画では「ガンダム」と戦っています。
アニメ映画『GODZILLA 怪獣惑星』(2017年)で登場したメカゴジラは、対ゴジラ用決戦兵器として開発され、続編『GODZILLA 決戦機動増殖都市』(2018年)では破壊されて残った頭部が自己増殖して「メカゴジラシティ」という巨大都市にまで変化を遂げていました。
テレビアニメ『ゴジラ S.P <シンギュラポイント>』(2021年)では、最終話ラストシーンにゴジラの骨から建造された「ロボゴジラ」なるものが登場しています。詳細は不明ですが初代メカゴジラに似た様相で、部品の製造メーカーに「ブラックホール社」と「第三惑星社」の名前がありました。
「モンスター・ヴァース」シリーズの『ゴジラvs.コング』(2021年)で登場したメカゴジラが今のところ最新のものでしょうか。これからも時代に合わせてアップグレードされた、最新のメカゴジラが登場することでしょう。
初代の登場シーンはその後の作品でもオマージュされることが多く、原典を知らずに観ている人も多いことと思います。さらに言えば、「○○対メカ○○」といったパターンを作り出したのもメカゴジラの功績でしょう。
ロボット怪獣であるメカゴジラの魅力、いくつもあると思いますが、みなさんはどこに惹かれますか。
(加々美利治)