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野村克也氏を偲ぶ マンガ『野球狂の詩』女性プロ野球選手・水原勇気誕生エピソード

2020年2月11日、元プロ野球監督・解説者の野村克也氏が84歳で亡くなりました。現役時代にも監督時代にも偉大な記録を次々と打ち立てた野村氏は1970年代のプロ野球マンガ全盛時代には作中にしばしば登場するだけでなく、水島新司氏の『野球狂の詩』に登場する女性プロ野球選手、水原勇気の誕生にも大きな影響を与えています。

野村克也氏は、「女性プロ野球選手を描きたい」漫画家の思いに応えた

『野球狂の詩 水原勇気編』第3巻(講談社)
『野球狂の詩 水原勇気編』第3巻(講談社)

 2020年2月11日、元プロ野球監督・解説者の野村克也氏が84歳で亡くなりました。現役・監督時代とも偉大な記録や成果を次々と打ち立てた野村氏。1970年代のプロ野球マンガ全盛時代には作中にしばしば登場するだけでなく、水島新司氏の『野球狂の詩』に登場する女性プロ野球選手、水原勇気の誕生にも手を貸しました。野村氏が水島氏に示した「女性プロ野球選手」の条件について、ライターの早川清一朗さんが語ります。

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 2020年2月11日に世代、業界の枠を超えて親しまれ、尊敬された野村氏が亡くなりました。死因は妻の野村沙知代さんと同じ虚血性心不全。入浴中の死でした。

 亡くなった野村氏は、1970年代の野球マンガ・アニメ華やかなりしころには当時不人気だったパ・リーグの選手にも関わらず、しばしば作中に姿を見せています。『巨人の星』ではヘルメットをベース上に落として大リーグボール二号を破るなど、当時の野村氏が球界随一の頭脳派選手だと認識されていたことが見て取れます。

 当時、漫画家の水島新司氏が「女性プロ野球選手を描きたい」というアイデアを打ち明けたとき、野村氏はしばらく考え込んでからこう答えたそうです。

「その投手にしかないボールがあれば、ワンポイントとしてなら通用するかもしれない」

 頭脳派選手だった野村氏に水島氏が相談を持ち掛けたのは、当然のことだったのでしょう。すでに数人の選手から「女性選手は無理だ」と否定され笑われていた水島氏に対し、野村氏は真剣に考え抜き、わずかな可能性を導き出してくれたのです。

 そして水島氏が世に送り出したのが、水原勇気という名の女性プロ野球選手でした。左のアンダースローという球界の歴史を見渡してみても極めてまれなスタイルで、決め球の「ドリームボール」は打者の手元でホップしてから揺れながら落ちる、初見ではまず打てないと思われる、まさに魔球だったのです。

 水島氏の代表作、1972年から「週刊少年マガジン」に掲載された『野球狂の詩』の主人公のひとりとして登場した水原勇気は、辛酸を嘗めながらもプロ野球選手として戦い続けます。そして野村氏と運命的な邂逅をするのです。

【画像】野村克也氏が影響を与えた『野球狂の詩』水原勇気の姿(6枚)

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