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スポーツマンガの全てが詰まった『ドカベン』31巻 後世に影響を与えた奇蹟のバイブル

2022年1月、漫画家の水島新司先生が亡くなりました。代表作の『ドカベン』は一般読者を魅了するにとどまらず、『SLAM DUNK』を生み出した井上雄彦先生などにも大きな影響を与えました。なかでも31巻は、後のスポーツマンガの構成や大切な要素が詰め込まれた奇跡の1冊といわれています。今回はその『ドカベン』31巻のすばらしさを紹介します。

スポーツマンガの王道が詰まった土佐丸とのベストバウト

岩鬼が葉っぱ(枝)をくわえるのは赤ちゃんの頃、おしゃぶりを拒否し枝をくわえてばかりいた名残 『ドカベン』第31巻(秋田書店)
岩鬼が葉っぱ(枝)をくわえるのは赤ちゃんの頃、おしゃぶりを拒否し枝をくわえてばかりいた名残 『ドカベン』第31巻(秋田書店)

 2022年1月10日、漫画家の水島新司先生が亡くなりました。代表作『ドカベン』は、一般読者を魅了するにとどまらず、『SLAM DUNK』を生み出した井上雄彦先生に漫画家になるきっかけを与えた作品で、水島先生が亡くなった際には井上先生もその死を悼みました。そんな『ドカベン』ですが、なかでもその31巻は、後世のスポーツマンガだけではなく、さまざまなジャンルのマンガに大きな影響を残しました。今回はその奇跡の1冊と謳われる、『ドカベン』31巻について紹介します。

●「奇跡の31巻」へつながる「30巻」のストーリー

 48巻で完結する『ドカベン』ですが、31巻が発売されたのは1978年のこと。そのひとつ前の30巻でドカベンはどんなことが巻き起こっていたかを説明すると……明訓高校で活躍する山田太郎、里中智、岩鬼正美、殿馬一人のいわゆる明訓四天王が2年の時に、春の選抜(春の甲子園)に出場します。そして、決勝戦で土佐丸高校と激突しました。

 この土佐丸戦は、エース里中が満身創痍で登板し、山田と里中の信頼関係にひびが入り、本塁クロスプレーの怪が起きるなどさまざまな要素が盛り込まれ、読みごたえがあるため「ドカベン・ベストバウト」に選ぶファンも多い名試合です。

 そのような前提があり、明訓対土佐丸戦の五回裏。1点リードを許した明訓の攻撃、里中が右腕に大ダメージを負う決死のヘッドスライディングで出塁した場面から31巻は始まります……。

●対戦相手は超ヒール? 土佐丸高校

 全国にある明訓のライバル校の筆頭といっても過言ではない、高知県の強豪「土佐丸高校」。わざと打者にデッドボールを投じたり、内野手をケガさせるような殺人スライディングをするなどのラフプレーを得意とし、なぜか練習に土佐犬が登場したり、選手全員が眼帯をつけ試合に臨んだりと謎めいたチームでもあります。

 正々堂々と戦う明訓高校。一方で、犬飼武蔵、犬神了など魅力的な選手がプレースタイル同様、強烈なヒールっぷりをみせる土佐丸高校。わかりやすく善と悪が対峙したため、この試合は多くの読者を惹きつけました。

●明かされる四天王のバックストーリー

 読者をマンガにのめり込ませる要因のひとつに「キャラの個性」がありますが、実は『ドカベン』ではここまでそれぞれのキャラのバックボーンはあまり語られてきませんでした。しかし、この31巻で突如、四天王の背景が回収されます。

 まず岩鬼が試合中、バックネット裏にかつてお手伝いさんとしてお世話になった「おつる」を見つけ回顧シーンに入ります。岩鬼が幼年期に親に冷たくされていたこと、そのときおつるが守ってくれたこと、神奈川出身なのに大阪弁なのはおつる譲りであること、おつると夏子はんが似ていること、そしてお手伝いを突然クビになったおつると涙ながらに別れたことなどが明かされました。

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